醤油の美味しさ探訪
第4回

醤油で料理 味付け黄金比

『醤油本 醤油を見つけて 醤油を知り 醤油を楽しむ本』では、醤油の深く多彩な楽しみ方をご紹介しています。今回は醤油の味付けの「黄金比」を特集します。

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醤油本 醤油を見つけて 醤油を知り 醤油を楽しむ本

 

料理の味付けは、分量より割合で覚えたほうが応用が利きます。まずは紹介する割合で作り、好みで調整しましょう。マイ黄金比を持っていると便利です。

■お吸い物

だしの繊細な風味を楽しもう

• みりんを入れずにすっきりと仕上げるのも◎。
• 食べる当日に昆布や鰹節の一番だしをとって作ると、香り良く仕上がる。
• 淡口醤油を使うとだしの香りも具材の色合いも引き立つ。


■煮魚

どんな魚も、まずはこの割合で

• 魚の下処理が終わったら、魚を湯にくぐらせて魚の臭みをとる。
• 酒を使うと身が柔らかく仕上がり、旨味が増す。酒の代わりとして、捕れたてなら白湯、そうでない場合はだしを使っても良い。
• 煮る時間は強火で約10分。調味料をおたまですくって、何度も魚にかけながら煮る。煮過ぎると身が硬くなるので注意。
• 青身魚を煮る時は生姜や梅干しも一緒に。
• 丸ごと煮る場合は、包丁目を入れておくと味が染みやすく、皮が破れるのを防げる。


■だし巻き卵

じゅわっとだしが出るふわとろだし巻き

• 卵の重さに対して1/2 のだしを入れるのが目安。Mサイズの卵は60g前後。だしより卵の味を楽しみたい人や、作るのに慣れていない人はだしの量を減らして作ろう。
• 白や淡口醤油を使って色鮮やかに仕上げよう。


■きんぴら

味付けはシンプルに

• ごぼうは皮付きのままあく抜きもしない状態で、香りが甘くなるまでじっくりと炒めるとより旨味が増す。
• みりんを使わず、醤油だけでシンプルに味わうのも◎。仕上げに一味唐辛子やすりごま、ごま油をかけるのもお勧め。
• 人参やこんにゃくやじゃがいもなど様々な食材で楽しもう。


■炊き込み御飯

醤油は控えめにし、味の濃さは塩で調整

• だしの代わりに、釜の中に水と昆布を入れて炊いても◎。あらかじめ具材だけを炊いておくと、味が染みてより味わい深くなる。
• 米をあらかじめ吸水させておくと、米にだしが染み込みやすくなる。
• 米の上に具が載っている状態で炊き、炊けたら混ぜて10 分ほど蒸らす。

■八宝菜

肉や魚のエキスを取り入れよう

• 和食の調味料だけでなく、鶏ガラスープや牡蠣を発酵させたオイスターソースなど、肉や魚の旨味が凝縮した中華調味料を使おう。酒も紹興酒にするとより本場の味に。
• 野菜は大きめに切って炒める。炒め過ぎると食感も彩りもなくなるので少し硬いくらいで火を止める。


■照り焼き

食欲をそそる色と香りと照り

• 醤油と砂糖を混ぜて焦げないよう混ぜながら火にかける。熱が引くととろみが出る。
• あらかじめグリルで焼いた鶏肉の上に塗り、少し焦げ目がつくまで再びグリルで焼く。
• グリルがない場合はフライパンで肉を焼き、絡める。

 

>第5回に続く

 


<玄光社の本>

醤油本 醤油を見つけて 醤油を知り 醤油を楽しむ本

著者プロフィール

高橋 万太郎&黒島 慶子


高橋 万太郎(たかはし・まんたろう)

日本全国選りすぐりの醤油を100mlで統一して販売する「職人醤油」代表。各地の醤油蔵の訪問件数は300を超える。伝統産業・地域産業の中で「つくり手」と「使い手」の「つなぎ手」となる組織を目指して日々挑み続ける。1980年群馬県前橋市出身。

 


黒島 慶子(くろしま・けいこ)

醤油とオリーブオイルのソムリエでwebとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳の時に体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけている。

 

書籍(玄光社):「醤油本

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