「ちょっぴりHなおんなのこの描き方」は、「セクシーな女性キャラクターの表現」に特化して人物イラストの描き方を指南する主旨の書籍です。著者はグラマラスな女性のイラストで人気の高いイラストレーター、方天戟氏。
女性の体の構造から各パーツの描き方に加え、様々なポーズや女性らしい仕草の作例を多数収録したほか、見た目から内面を感じさせるようなキャラクターづくりのコツや、陰影によるシチュエーション表現などにも言及しており、イラストレーターが女性の身体を作画する際に留意しているポイントがわかる内容となっています。
本記事では、Chapter2「女性の上半身を上手に描こう」より、「乳房の形状表現」に関する記述を抜粋して紹介します。
絵として女性を表現する上で、女性らしさを如実に表せるのが乳房です。服を着ていてもシルエットや谷間でその魅力を表現できますし、胸の発育や衰退の状況で年齢を示唆できます。
乳房の基本とその変化を学ぶ
乳房の構造と形の違いを知ろう
思春期以降、女性ホルモンの分泌で、乳房には脂肪が付きやすくなり、大きく発達します。乳腺組織が発達し、それに伴い周辺に皮下脂肪が増えてふくよかな乳房を形づくります。乳腺が多い女性は、巨乳になりやすいといえます。
乳房の構造
乳房は、10%の乳腺組織と90%の脂肪組織でできています。乳腺は乳房を形づくる梁の役割があり、乳腺の量が多いほど乳房が大きくなる傾向にあります。重量のある乳房は内側の大胸筋によって支えられており、大胸筋が老化しはじめると支えきれなくなり、乳房は垂れはじめます。
乳腺質型
乳腺の量が多く、乳房内にたくさん詰まっている状態。乳房は硬めで垂れにくいのが特徴です。見た目は、豊胸をしたような半円球で、欧米人に多く見られます。
脂肪質型
乳腺質型に比べて、皮下脂肪の比率が多いタイプです。日本人をはじめ東洋人に多く、見た目もやわらかい印象できれいですが仰向けになると潰れて見えます。
いずれも乳房上部の張りの違いを意識して描きましょう。
第2肋骨から膨らみトップに乳首
乳房のタイプや個人差によって、乳房の膨らみ方や乳首のトップの位置が違ってきます。一般的に乳房は第2 肋骨から第6 肋骨にかけて膨らんでおり、若干垂れているように見えます。乳首は、乳房の先端部分に描くと自然に見えます。
正面
乳房の形や大きさ、乳房の位置が左右対称に見えます。
- 乳房の膨らみはじめる第2肋骨まで平坦なので、大きい乳房ほど乳首の位置が下になり、乳房が垂れて見えます
- 乳房はやや外向きに膨らんでおり、乳首の位置もやや外側に位置しています
- 下乳を球体に描くことで張りのある乳房に見えます
斜め
乳房がもっとも美しく見える角度ですが、左右の乳房の形や乳首の向きが違ってきますので、描写が難しくなります。
- 乳房の上部に膨らみを加えることで張りを表すことができます
- 脇の下からS字の形に乳房の膨らみがはじまっています
- 下乳を球形に描くことで、若さや張りのよさを印象付けることができます
- 両肩のラインと乳頭の位置は平行になります
乳房の種類
乳房は、その大きさと形によって、大きく6つに分けられます。その中で、日本人の女性にもっとも多いのが「おわん型」といわれています。
皿型
乳房のトップとアンダーの高低差が小さい。胸に皿をかぶせたような見た目から皿型と呼ばれています。
三角型
胸の上部から乳首にかけて乳房が上向きに反り、三角形の形をしたタイプ。欧米人により多い。
おわん型
胸におわんをかぶせたような形状。ほどよい膨らみがあって美しく、日本人の女性にもっとも多いといわれています。
円錐型
半球型よりももっと大きく前へ突き出て、円錐の形をした美しい乳房。張りが失われると垂れが目立ちます。
半球型
全体的に均等に膨らみがある、ソフトボールを半分に割ったような形が特長。硬く張りがあり、欧米人によく見られます。
釣鐘型
下乳が張っているタイプ。乳首は上向きで、トップとアンダーの高低差が大きく、セクシーな形です。
年齢別乳房の変化
一般的に思春期(13~4歳頃)になると乳房が膨らみはじめ、30代半ば頃から弾力がなくなり、垂れはじめ、乳首および乳頭の位置が下がってきます。
10代
乳房が膨らみはじめる時期でやや小ぶり。乳首の位置が高く見えます。
20代
乳房が成熟期を迎え、張りとツヤがあり、下乳がきれいな円状に見えます。
30代
乳房上部の脂肪が減りはじめ、ツヤと張りが減少。乳首が下がってきます。
40代
乳房上部の筋肉および乳房の脂肪組織の老化が進み、垂れが目立ちます