岡嶋和幸作品展「風と土」

2019年3月1日(金)~3月14日(木) ソニーイメージングギャラリー

(C)岡嶋和幸

写真家・岡嶋和幸氏の作品展「風と土」が東京・銀座のソニーイメージングギャラリーにて開催される。会期は2019年3月1日(金)~3月14日(木)まで。

アイルランドの南西、大西洋に突き出したディングル半島を舞台に撮影。厳しい大自然の「風土」が感じられるような作品展だ。また、3月9日・10日にはゲストを迎え、岡嶋和幸氏によるギャラリートークも開催する。合わせて、同名の写真集「風と土 Wind and Earth」(インプレス刊)を発売する。

(C)岡嶋和幸
(C)岡嶋和幸
(C)岡嶋和幸

(写真展リリースより)
欧州の西の果て。アイルランドのディングル半島は大西洋に突き出し、湿った偏西風が吹き込む複雑な海岸線が続く。秋から春にかけてよく雨が降り、緑豊かだが樹木は少なく森はない。日中は世界中からの観光客で賑わうなど風光明媚な場所だが、朝夕は人影がなくなり本来の静けさを取り戻す。視界や雨風を遮るものはほとんどなく、広がる景色は無骨で気難しい印象を受ける。端的に言い表せば、荒涼たる土地ということになる。
気候、地形、地質、水、土壌、植生などは土地ごとに個性がある。それぞれに与えられる光や熱、雨水などが異なるため、人や動植物の生命力には必然的に地域差が生じる。ここでは大西洋西南から吹き抜ける風の通り道を避けるように、人も植物も大地にしっかり根を張り、生命を培う力を養う。だが、水や栄養を蓄える土はわずかに地表を覆う程度で、そのすぐ下は固い花崗岩だ。太く深く根を張り巡らせるのは厳しい。丘陵地には緑の草原が広がり、牛や羊が放牧されている。草よりも背丈の高いものは、強い風に吹き飛ばされないようにするのが精一杯。目にする光景には、逞しさなどここで生きる生命の気質のようなものが現れている。

「風土」という言葉は「風」と「土」という二つの単語で構成された中国起源の複合名詞で、季節の循環に対応する土地の生命力を意味するという。この地では四季折々の景色を目にするのに一年という時間はいらない。一日もあれば、天候の変化だけでさまざまな顔を見せてくれる。静かで穏やかなときもあれば、荒れ狂うときもある。その表情は樹木などに覆い隠されることなく、常に素顔をさらけ出しているため喜怒哀楽が分かりやすい。

古代より、悠久のときを経て固有の風土が描き出したそれらの情動を観察していると、自分自身の存在やその時間はほんの一瞬の出来事なのだと思えてくる。ここで目にする全てのものも、それぞれに世代交代を繰り返したり、経年変化しながらこの土地に順応していったいまの姿なのだ。(岡嶋和幸)

プロフィール:岡嶋和幸(おかじま かずゆき)
1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。写真集「ディングル」(ソフトバンク クリエイティブ 2008年)のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン 2008年)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム 2009年)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー 2009年)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト 2012年)などがある。

<写真展情報>
岡嶋和幸作品展「風と土」
会場:ソニーイメージングギャラリー
東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階
https://www.sony.co.jp/imaging/gallery/
会期:2019年3月1日(金)~3月14日(木)
会場時間:11:00~19:00
入場料:無料

<ギャラリートーク>
ゲストを迎え、岡嶋和幸氏によるギャラリートークを開催

開催日時:
3月9日(土) 14:00~14:45 ゲスト:福島 晃氏(デジタルカメラマガジン編集長)
3月10日(日) 14:00~14:45 ゲスト:藤森邦晃氏(フォトコン編集長)
会場:ソニーイメージングギャラリー 会場内
参加費無料・申込不要
※座席はございませんので、予めご了承ください。
※ギャラリートークは記録のために撮影する場合があります。

 

<写真集「風と土 Wind and Earth」>

風と土 Wind and Earth

出版社: インプレス
定価:本体3,000円+税

岡嶋和幸氏がライフワークの地とする欧州の西の果て、アイルランドの北西に位置するディングル半島で写した断崖絶壁と遊牧風景。2008年に刊行したファースト写真集「ディングル」(ソフトバンク クリエイティブ刊)から10年の時を経て、ふたたびディングルを被写体に撮影に取り組んできました。10年という月日が自分とディングルにどのような変化をもたらしたのか、それを見極めるための旅でもありました。本作のテーマは「風土」、暴れる風と荒涼とした大地の風景、大西洋に突き出たディングルの素顔を捉えた作品集です。


 

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