私たちがネットショッピングをするとき、購入の決め手になる要素のひとつが「写真」です。商品の詳細や使用イメージなど、想像していた通りの商品かどうかをある程度知りたいときは、百の言葉よりも一枚の写真の方が説得力を持つこともあるでしょう。
「ネットショップ初心者でも売れる商品写真の基礎知識とつくり方」では、ECショップにおいて効果的な写真の性質や撮影時の留意点をカテゴリごとに紹介。商品撮影をカメラマンに依頼する際のディレクションについても触れつつ、SNS戦略、カートシステムにいたるまで、ECショップ内の画像にまつわるあらゆるテーマを網羅し解説しています。
本記事ではChapter2「ECに必要な写真と調達方法」より、商品写真を自分で撮影する場合の注意点を紹介します。
自分で撮影する場合のメリットと注意点
第2回の『「いい写真」は売上をつくる』で述べたとおり、ECサイトでは必ずしもプロのフォトグラファーが撮った写真ではなくても「売れる」ケースは多々あります。
要は商品の情報がわかるように写真の点数を確保して、適切に商品の特徴や世界観を伝えることができればよいのです。
自身で撮影する場合は、商品やサービスへの理解が高いことがアドバンテージになります。商品のどこを見せるべきか、顧客が何を重要視しているかは、プロのフォトグラファーよりも知識があるはずです。
スマートフォンで撮影した写真でも、結果的に顧客のニーズを満たすことができれば、プロが撮影した写真以上の売上を立てることができるでしょう。
SNSのトレンドを意識する
自分で撮影する場合は、いきなりカメラを構えるのではなく、まずはSNSで気に入った写真を探してみましょう。これはどういう写真を撮るかを明確にするためです。できれば同じ商材を扱っているショップや、商材が違ってもターゲットが近いショップを参考にしてみてください。
プロが撮ったからいい写真、スマートフォンだからダメといったことはありません。そもそも誰がどのように撮ったかはわからないので、とにかく気に入った写真をストックしていきます。
そして、気に入った写真をよく観察してみましょう。慣れてくれば「どのように撮られているか」が見えてきます。このとき、写真の魅力が光なのか? 構図なのか? トーンなのかといった要素に分解してみましょう。たとえば「背景がボケている」や「逆光で撮っている(影が手前に落ちている)」といったようにです。
ここまでわかれば、魅力に感じた要素をコピーするように撮ってみます。
SNSを参考にする意味
ここ数年で、真俯瞰(真上から撮った)の写真をよく見かけるようになりました。Instagramの影響が大きいと推察しますが、背景をぼかすのが苦手なスマートフォンでも雰囲気のいい写真が撮れることから、小物から料理まで幅広いシーンで利用されていますし、プロの写真でも同じようなアングルの写真が増えました。まさにSNS発の流行といっても過言ではないでしょう。
このように最近ではSNS上で流行した写真(または表現手法)が一般の方のみならず、プロの写真にまで影響を与えるようになりました。
ECサイトもSNSの存在は無視できなくなっています。手軽に利用できる上に、消費者が日常的に慣れ親しむ「距離の近い」メディアであり、時代の空気や消費者の感覚をつかむのに最も適したメディアといえるでしょう。
特にInstagramは写真が中心のメディアなので、ここから学べることはとても多くあります。
写真の雰囲気を統一する
自分で撮影する際に一番大切なのは、写真や撮影の知識(特に商品写真)を身につけることですが、まずは「写真の雰囲気を合わせる」ことを意識してください。
商品ページに掲載する複数の写真がバラバラの「雰囲気」だと違和感を感じ、購入にあたって不安になってしまいます。
Instagramでも同じです。自身のプロフィール画面には、写真の一覧が表示されますが、あまりにも写真の雰囲気が違いすぎると、お店の強みや特徴といったものが伝わりません。
ユーザーはプロフィール画面で「どんなお店かな?」と確認することも多いので、統一した「雰囲気」をつくってしっかりとお店の世界観を伝えましょう。
撮影時は、光の方向を同じにしたり、常に同じ明るさになるように撮影したり、「決め事」をつくっておくと良いでしょう。そうすることである程度の雰囲気は統一できます。また、スマートフォンの写真アプリやInstagram内で使うフィルターを常に同じもので決めておく、というのも有効です。