営業写真の撮り方見本帖
第8回

営業写真の実践テクニック〜厳密な構図が重要なシンメトリーの画面構成

いわゆる「写真館」では、人々が迎えた人生の節目や記念日の姿を写真に残すことを業としています。こうした写真を一般に「営業写真」と呼びますが、近年の営業写真は写真館の中で撮影するだけでなく、屋外で撮影するロケーション撮影も増えてきています。

営業写真の撮り方見本帖」では、和装撮影をメインに活躍しているフォトグラファーの北井一大さんによる撮影の手法から心構えを伝えています。結婚式などのイベントや日常のワンシーンを思い出の1枚として残す技術と、それより先に持っておくべき考え方を学ぶことができる1冊です。

本記事ではChapter2「ジャンル別で見る営業写真の実践テクニック見本帖」より、歴史のある日本家屋の雰囲気を活かしたウェディングフォトの一例を紹介します。

>この連載の他の記事はこちら
>前回の記事はこちら

営業写真の撮り方見本帖

伝統的な日本家屋の雰囲気を生かして撮る

新郎新婦の間に空間をつくっているのは、奥の掛け軸を入れたかったため。下に敷いた毛氈も、畳の幅にピッタリ合うようにセットしています。マニュアル露出 F2.5 1/160秒 ISO640 50mm

画面内のラインを意識する

築300年という老舗料亭の大広間をお借りして撮影した1枚です。この場の雰囲気を生かしながら、新郎新婦をストレートに撮影したいと考え、この画面構成を採用しました。

この場面は建物の縦横のラインがしっかり垂直水平になっていて、かつシンメトリーであることが大事な要素。少しでも柱や梁が傾いてしまったり、シンメトリーが崩れると、それだけでこの画面構成は力強さを失います。構図をきちんと吟味するために、撮影では三脚を使っています。

また、右から入るサイド光により、ドラマチックな陰影が被写体に入り、描写のアクセントになっていることもポイント。一見、この場面は自然光のみで撮っているように見えますが、画角に入らない右側面から、新郎に向けてストロボを1灯照射しています。ストロボと自然光によるミックス光が、新郎新婦の堂々とした立ち姿を引き立て、盛り上げています。

Lighting Point
ノーストロボだと新郎の顔はだいぶ暗く落ちてしまう場面。横から光を照射し光量を補います。ただし、あまり真横からだと新婦にも光が当たってしまいます。新婦になるべく光が及ばないように、新郎から見て30度ほど手前の位置から、グリッド付きのソフトボックス(60×60cm)で光を回し込んでいます。

撮影のポイント

  1. どっしりと正対する画面構成にする
  2. 垂直水平を意識する
  3. 掛け軸が見えるように空間をつくる
  4. 掛け軸を真ん中に左右対称の構図にする
  5. サイド光で立体感を演出する
  6. 毛氈の配置にもこだわる

営業写真の撮り方見本帖

関連記事