カラーイラストの完成度を向上させるために必要な技術や知識は多岐にわたります。一例を挙げれば、色の成り立ちから相性、配色、陰影、質感などなど。「キャラクターの色の塗り方 新装版」著者のkyachiさんは、個々の情報を整理し、それらが自分の目指す表現にどのような形で役立つのかを把握する作業こそが「人に見せるイラスト」を完成させる秘訣だと語ります。
2014年に出版した技法書の新装版となる本書では、人物を描いたカラーイラストのクオリティアップに必要な知識や技術を様々な要素に分けて解説しています。色の基礎知識や光と影の表現、キャラクターの個性を引き立てる配色などのほか、実践的な塗りの手法として「アニメ塗り」「テクスチャ塗り」「厚塗り」「レイヤーマスク塗り」の4種類を新たに収録。現行バージョン(2021年時点)の「CLIP STUDIO PAINT PRO」および「Photoshop」の機能を踏まえた作画方法を学ぶことができます。
本記事では、Chapter3 Lesson5「メイクの表現」より、キャラクターの顔に様々なメイクを施した場合の比較作例を紹介します。
メイクの表現
メイクは顔の彩度を上げ、引き締める効果があります。濃さや色選びはシーンによってチェンジしてみてください。
メイクのプロセス
実際のメイクと同様にノーメイク状態から少しずつ色を足していくとより自然に見えます。
1. すっぴんの状態。ノーメイクとも。
2. 眉を少し描き足し、アイライン、チーク、リップを薄く入れます。
3. アイシャドウを入れます。
4. アイラインを描き足し、マスカラを塗ります。
5. 鼻筋にハイライトを入れ、チークを濃くします。
6. リップを濃くし、ツヤをプラス。ノーマルメイクの完成。
メイクのバリエーション
濃いメイク
リップを印象的にしたいので、アイメイクはしっかり入れつつ彩度低めの色にします。
ゴスパンメイク
肌の色を青白くし、ボルドーで目元を囲み眉を薄くします。リップに黒グロスを塗ります。
巫女メイク
赤を使うことで肌の明度も彩度も上がります。使う色数は抑えるのがポイントです。
各パーツの表現
まつ毛、チーク、リップの表現のバリエーションを見てみましょう。
まつ毛
薄い
ノーマルな状態。
濃い
上まつ毛、下まつ毛ともに濃くした状態。上まつ毛の影が下まぶたの際に落ちるのにも注目。
まゆ
薄い
肌の色に近いノーマルな状態。
濃い
色を濃く太くした状態。眉頭、眉山、眉尻の位置にも気をつけましょう。
チーク
子どもっぽい
ベビーピンクのチークを丸くほお全体に入れます。
大人っぽい
濃い目の赤など明度の低い色のチークをほお骨の高い位置から鋭角に入れます。
リップ
マット
ハイライトの入り方がはっきりせず、シワっぽく見えます。
グロス
ビニールのようなツヤが入ります。シワは少なくなります。
薄い色の口紅
薄いピンクなど肌となじむ色にします。輪郭が曖昧になってしまうのでラインをはっきりさせます。
濃い色の口紅
ハイライトが柔らかく入ります。上唇の中心の影になる部分はやや暗くなります。