スイーツ&料理写真のアイデア帳
第4回

宙に浮く「カヌレ」。どうやって撮ってるの?

私たちにとって、日々の食事を写真に残すことは日常的な行動の1つになりました。食事を写真に撮る目的は特別な日の記録から健康の維持、店舗提供メニュー制作まで様々ですが、せっかく撮るならばできるだけきれいに残したいもの。とはいえ用意できる機材やスペースにも限りはあり、悩ましいところです。

スイーツ&料理写真のアイデア帳」ではフードフォトをメインテーマとし、カメラ、三脚、ストロボ/LEDライト各2灯とソフトボックスという基本的な機材をベースに、窓からの自然光や手作りの補助ライティングアイテムを活用して、レタッチを含む様々な工夫を凝らした多種多様なライティングを学ぶことができます。

本記事ではChapter2「フードフォトの撮り方」より、「カヌレ」の撮影方法を解説します。

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スイーツ&料理写真のアイデア帳

カヌレ

カヌレを宙に浮かせてリズム感のある不思議なお菓子の世界を作り込む

絞り:F14 シャッター速度:1/125秒 ISO520

セッティング:フレキシブルアームとテグスでカヌレを吊るす

2~3個のカヌレが落ちる瞬間をイメージして、カヌレを吊るして撮影することにしました。吊るしたテグスなどは、後からPhotoshopで消していきます。

まずはテーブルと背景紙をセット。カヌレの色味に合うよう、同系色を選びます。カヌレを吊るす準備は、透明な テグスにカヌレを縦に縛っておきます。フレキシブルアームを使い、テグスをつけた3個のカヌレを吊るし、それぞれ高さや角度を変えて配置。カヌレが落ちた瞬間を表現するため、背景紙の上に置くカヌレも立たせたり横にしたりして、手前と奥に配置しました。断面も見せたかったので割ったものをひとつ取り入れました。

カメラをセットし、カヌレ同士やアームの先が背後にあるカヌレと被らないように位置を調整してシャッターを切りました。

カヌレを吊るしたフレキシブルアームは、カメラに向かって右側に設置。できるだけフレキシブルアームが画面に入らないようにする。
「POHZE」というメーカーのフレキシブルアームを使用。本来の用途は溶接をするためのはんだ台。

ライティング:1灯+トレペ+レフ板で柔らかい影を出す

1灯のシンプルなライティングです。ソフトボックスを付けたストロボを左側に配置しました。カヌレ全体、カヌレの頭(てっぺん部分)、背景に光が回るよう斜め前から光を当てています。カヌレの柔らかさを表現するため、光も柔らかくしたかったので、さらにトレペを挟んで光を拡散させました。

カヌレの右側にできた影を起こすためにレフ板も使用して、薄めの影を作っています。

使用した機材

  • ストロボ:Godox AD300 Pro
  • アクセサリー:ソフトボックスSokani 60cm
  • カメラ:ソニーα7 III
  • レンズ:FE 90mm F2.8 Macro G OSS

ONE POINT:吊るす糸は透明なものを選ぶ

カヌレを括りつけた糸は、ビーズアクセサリーや釣り糸に使う透明なテグス。透明な糸のほうが目立たず、後から消しやすいです。

レタッチ:Photoshopを使ってテグスとフレキシブルアームを消す

Lightroomの現像では質感を出すためにテクスチャを少し上げ、全体的に彩度は抑えます。現像し終わったら、Photoshopで不要なフレキシブルアームとテグスを消していきます。まずは長方形選択ツールでアームの部分を選択し、右クリック。塗りつぶし→コンテンツに応じるを選んでOKをクリック。選択した部分のアームが消えるので、続いてテグスも消していきます。

テグスはスポット修復ブラシツールでテグスの部分をなぞるように選択するとうまく消えます。

BEFORE

AFTER

基本補正でコントラストとテクスチャを上げる

トーンカーブは緩やかなS字にしてメリハリをつける
Photoshopを開き、長方形ツールを選択して消したい箇所を選択し、右クリックして塗りつぶしを選択
コンテンツに応じるを選択してOKをクリック
スポット修復ブラシツールでテグスをなぞり消していく

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著者プロフィール

茶々

秋田県出身。1994年生まれ。
2018年に趣味で写真を撮り始める。
5年間勤めた会社を退職し、現在はフリーランスフォトグラファーとして活動中。写真教室講師、様々な商品撮影など行っている。
休日は趣味のお菓子作りをしながら自宅で写真撮影を楽しんでいる。

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