私たちにとって、日々の食事を写真に残すことは日常的な行動の1つになりました。食事を写真に撮る目的は特別な日の記録から健康の維持、店舗提供メニュー制作まで様々ですが、せっかく撮るならばできるだけきれいに残したいもの。とはいえ用意できる機材やスペースにも限りはあり、悩ましいところです。
「スイーツ&料理写真のアイデア帳」ではフードフォトをメインテーマとし、カメラ、三脚、ストロボ/LEDライト各2灯とソフトボックスという基本的な機材をベースに、窓からの自然光や手作りの補助ライティングアイテムを活用して、レタッチを含む様々な工夫を凝らした多種多様なライティングを学ぶことができます。
本記事ではChapter2「フードフォトの撮り方」より、「カヌレ」の撮影方法を解説します。

カヌレ
カヌレを宙に浮かせてリズム感のある不思議なお菓子の世界を作り込む

セッティング:フレキシブルアームとテグスでカヌレを吊るす
2~3個のカヌレが落ちる瞬間をイメージして、カヌレを吊るして撮影することにしました。吊るしたテグスなどは、後からPhotoshopで消していきます。
まずはテーブルと背景紙をセット。カヌレの色味に合うよう、同系色を選びます。カヌレを吊るす準備は、透明な テグスにカヌレを縦に縛っておきます。フレキシブルアームを使い、テグスをつけた3個のカヌレを吊るし、それぞれ高さや角度を変えて配置。カヌレが落ちた瞬間を表現するため、背景紙の上に置くカヌレも立たせたり横にしたりして、手前と奥に配置しました。断面も見せたかったので割ったものをひとつ取り入れました。
カメラをセットし、カヌレ同士やアームの先が背後にあるカヌレと被らないように位置を調整してシャッターを切りました。


ライティング:1灯+トレペ+レフ板で柔らかい影を出す
1灯のシンプルなライティングです。ソフトボックスを付けたストロボを左側に配置しました。カヌレ全体、カヌレの頭(てっぺん部分)、背景に光が回るよう斜め前から光を当てています。カヌレの柔らかさを表現するため、光も柔らかくしたかったので、さらにトレペを挟んで光を拡散させました。

使用した機材
- ストロボ:Godox AD300 Pro
- アクセサリー:ソフトボックスSokani 60cm
- カメラ:ソニーα7 III
- レンズ:FE 90mm F2.8 Macro G OSS
ONE POINT:吊るす糸は透明なものを選ぶ

レタッチ:Photoshopを使ってテグスとフレキシブルアームを消す
Lightroomの現像では質感を出すためにテクスチャを少し上げ、全体的に彩度は抑えます。現像し終わったら、Photoshopで不要なフレキシブルアームとテグスを消していきます。まずは長方形選択ツールでアームの部分を選択し、右クリック。塗りつぶし→コンテンツに応じるを選んでOKをクリック。選択した部分のアームが消えるので、続いてテグスも消していきます。
テグスはスポット修復ブラシツールでテグスの部分をなぞるように選択するとうまく消えます。
BEFORE
AFTER





