私たちにとって、日々の食事を写真に残すことは日常的な行動の1つになりました。食事を写真に撮る目的は特別な日の記録から健康の維持、店舗提供メニュー制作まで様々ですが、せっかく撮るならばできるだけきれいに残したいもの。とはいえ用意できる機材やスペースにも限りはあり、悩ましいところです。
「スイーツ&料理写真のアイデア帳」ではフードフォトをメインテーマとし、カメラ、三脚、ストロボ/LEDライト各2灯とソフトボックスという基本的な機材をベースに、窓からの自然光や手作りの補助ライティングアイテムを活用して、レタッチを含む様々な工夫を凝らした多種多様なライティングを学ぶことができます。
本記事ではChapter2「フードフォトの撮り方」より、「いちごのロールケーキ」の撮影方法を解説します。

イチゴのロールケーキ
ライティングで作る窓辺の風景。「ナチュラル」と「違和感」をミックスする

セッティング:窓辺のナチュラルなスタイリングに浮遊感をプラス
ナチュラルでありながら落ち着いた雰囲気のスタイリングを目指しました。テーブルの上にワッフル生地のブラウンの布を敷き、小さめのケーキスタンドを用意。大きすぎると余白が大きくなりバランスが悪いので、ケーキの大きさに合わせて選びます。ロールケーキは一切れだけのせて特別感を出します。ケーキを囲うように周りに洋書やオリーブ、ロウソクを配置。材料のイチゴを周りに飾って彩りをプラスしました。さらにイチゴを串にさして浮遊させ、楽しい雰囲気もプラスすることに。串はPhotoshopで後から消していきます。ロウソクの火は撮影直前にマッチで火をつけ、撮影が終わったらすぐに消すようにします。


ライティング:窓から太陽の光がさんさんと差し込む日差しを作る
ストロボとスヌートを付けたLEDライトの2灯ライティング。左サイドにリフレクターとグリッドを付けたストロボを1台配置し、少し高い位置からトレペ越しに光を送っています。リフレクターやグリッドをつけて光を狭めると、後ろのスヌートの影と干渉しにくくなります。
そして奥にスヌートを付けたLEDライトを1台設置。こちらは影をしっかり出したかったのでトレペは介さずに、後ろの白い壁に向けて照射して窓の模様を映し出しました。模様はコニカルスヌートに付属の丸型フィルターをはめて作り出しています。
使用した機材
- ストロボ:Godox AD300 Pro
- LEDライト:NANLITE FS-300b
- アクセサリー:リフレクター+ハニカムグリッド、コニカルスヌートSokani 60cm
- カメラ:ソニーα7 III
- レンズ:FE 90mm F2.8 Macro G OSS
ONE POINT:スヌートで窓際で撮影したような影を作る
スヌートを使うとさまざまな光と影の模様を作り出すことができ、余白にアクセントを入れることができます。窓枠や木漏れ日など丸型フィルターが付属しているので、イメージに合わせて使い分けを。ここでは付属の窓枠のフィルターを使いました。

現像:「自然な彩度」を下げてイチゴ以外の彩度を下げる
イチゴの色を綺麗に見せつつ、メリハリのあるこっくりとした写真を目指しました。基本補正では自然な彩度を少し下げました。自然な彩度はもともと彩度の低い部分への影響が大きく、逆にもともと彩度の高い部分への影響は少ないので、イチゴの赤を活かして全体の彩度を下げることができます。
最後に浮かせるためにさした串を消します。カラーグレーディングではシャドウにオレンジ系、ハイライトにグリーンをのせて海外の映画のような雰囲気に仕上げました。
BEFORE
AFTER




