私たちにとって、日々の食事を写真に残すことは日常的な行動の1つになりました。食事を写真に撮る目的は特別な日の記録から健康の維持、店舗提供メニュー制作まで様々ですが、せっかく撮るならばできるだけきれいに残したいもの。とはいえ用意できる機材やスペースにも限りはあり、悩ましいところです。
「スイーツ&料理写真のアイデア帳」ではフードフォトをメインテーマとし、カメラ、三脚、ストロボ/LEDライト各2灯とソフトボックスという基本的な機材をベースに、窓からの自然光や手作りの補助ライティングアイテムを活用して、レタッチを含む様々な工夫を凝らした多種多様なライティングを学ぶことができます。
本記事ではChapter2「フードフォトの撮り方」より、「ホットケーキ」のイメージを活かした撮影方法を解説します。

ホットケーキ
可愛い雰囲気のホットケーキは「シンプルポップ」な柔らかいライティングを組む

セッティング:シンプルさの中に可愛らしさとポップさをプラスする
ホットケーキをシンプルポップな写真に仕上げたいと考えて、まずは明るい水色の画用紙を背景に選びました。ホットケーキを真ん中あたりに配置して、基本の構図を決めます。シンプルさを活かすために、小物はあまり使わないことにしました。
ホットケーキだけでもよかったのですが、シンプルななかにも少し可愛らしさやポップさを感じるスタイリングにしたいと考え、いただき物のさくらんぼを差し色として追加。木のカトラリーを合わせました。
最後にステンレスの小さいミルクピッチャーにはちみつを入れ、セルフタイマー(10秒後5枚撮影)に設定。上からたらりとかけてシズル感を出しました。
- 手を上から入れて画面の余白を埋める
- ホットケーキは中央に配置
- さくらんぼの赤をアクセントに

ライティング:拡散する光、狭める光の両方を使う
3灯ライティングです。まずは左サイドにソフトボックスにグリッドを付けたストロボを配置。光の強さを和らげるためにトレペを挟みました。続いて全体に柔らかい光を当てるため、手前にストロボをもう1台置き、天井バウンス。
最後に、ホットケーキにかけているはちみつの艶をより出すため斜め後ろにLEDライトを1台配置しました。光の範囲を狭くして光を当てるため、LEDライトにはグリッドを付けています。ホットケーキに流れるはちみつの立体感をしっかり出しつつ、全体的に硬い印象にならないよう心がけました。
使用した機材
- ストロボ:Godox AD300 Pro
- LEDライト:Godox ML60Bi
- アクセサリー:ソフトボックス+グリッドSokani 60cm、リフレクター、リフレクター+グリッド
- カメラ:ソニーα7 III
- レンズ:FE 90mm F2.8 Macro G OSS
ONE POINT:シャッターに手が届かないときはタイマーで連写
1人で撮影するときは、「シャッターを押す」と「はちみつをたらす」を1人で行わなければなりません。シャッターに手が届くときは「連続撮影」に設定し、左手でシャッターを押しながら右手ではちみつをたらしますが、手が届かないときは「セルフタイマー:10秒後5枚」に設定します。セルフタイマーにしつつ、連続撮影もすることができて便利です!


現像:カラフルすぎるブルーの背景は「かすみの除去」をマイナスに
明るく可愛らしい雰囲気になるように現像していきす。影が強くならないよう、シャドウと黒レベルの数値を上げます。ホットケーキ、たらしたはちみつの質感がしっかりと出るよう、テクスチャをプラスに。カラフルな水色の背景が全体の色を強い印象にしていたので、かすみの除去をマイナスにして全体の雰囲気を柔らかくしました。最後にカラーミキサーでブルーの色相をグリーン寄りにし、彩度を少し下げて調整します。
BEFORE
AFTER




