今や誰もがカメラを手にして、日々の記録を写真として残す時代になりました。スナップ写真と呼ばれるジャンルは、目の前の景色、日常を残すという意味では、私たちが最も親しんでいるジャンルかもしれません。
「カッコいいスナップ写真の撮り方」では、日頃私たちが撮っているスナップ写真をよりカッコいい作品へと高めていくための秘訣を伝授。著者の野寺治孝さんによれば、「カッコいいスナップ写真」とは「独自の視点」「写真的感性」「空気感の表現」「個性的に撮る」という4つのポイントを押さえた写真としています。自分なりの工夫や視点を持ち、機材やテクニックに頼らず、それでいて場の空気をしっかり捉えることであり、本書ではそれを実践するための考え方について、様々な作例を使って説明します。
本記事ではChapter8「スティルライフ」より、「紺碧の空に交通標識」を例とした撮り方、考え方について抜粋して解説します。
スティルライフも楽しめる
「スナップでもスティルライフって撮れるんですか!?」という声が聞こえてきそうです。店頭の看板やウィンドーディスプレー、カフェで飲んだコーヒーカップ、路上に落ちているつぶれた缶、かっこいい車両など、その気になって探せばたくさんあります。「今日のスナップ撮影のモチーフはスティルライフだけ」でも面白いと思います。被写体は宝探しだと思って、時には視野を少し狭めてスティルライフ撮影も楽しんでください。
被写体の全体を撮るのか、どこの部分を切り取るのかで出来上がった写真のイメージが変わってきますので、撮る前にはアングルも含めてよく被写体を観察しましょう。
少し大胆なアイデアですが50mmマクロだけで「30cm以内の街」というテーマで壁や路上に落ちているモノなどを撮ってみるのも面白いと思います。いつもと違った世界が見えてくるはずです。
紺碧の空に交通標識
気持ちが動いたら何でも撮るのがスナップ。
DATA
高知県・高知市内/午前3時頃
フルサイズ・デジタル⼀眼ミラーレスカメラ
24-105mm F4(74mm付近)
1/500秒 F18 絞り侵先AE +1/3補正 ISO400
撮り方&仕上げ方
ピントは標識の自転車のイラストに合わせる。 絞り値はF18辺りまで絞り込んでパンフォーカスにする。空を紺碧にしたいので暗めの露出にする。 結果的に反射が強すぎてアンダーになってしまったのでプラスに補正した。このような露出の決定が難しい時はモニターで要確認。レタッチではコントラストを強める。
NOTE
高知で撮らなくても撮れるモチーフかもしれない。しかし「ここ」で出会って心が動いたものは「ここ」で撮ることに意味がある。なぜなら空気と光が違うし、何よりも気持ちが変わってしまうからだ。スナップとは常にその一瞬を記録していくものだと思う。気持ちが動いたら何でも撮るのがカッコいいスナップへの近道だ。