初心者が真っ先に覚えたい! 写真の表現テクニック入門
第5回

シャッタースピード別・被写体の見え方比較

趣味の写真撮影に失敗はつきもの。被写体やシーンをとらえるタイミングはよかったのに、後で写真を見たらきちんと写っていなくてがっくり、という体験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

写真教室の講師もつとめる写真家・上田晃司さんの著書「初心者が真っ先に覚えたい! 写真の表現テクニック入門」では、写真撮影における「失敗」を「自分の思い通りに撮れていないこと」ととらえ、撮影者が最初に思い浮かべたイメージに近づけるためのテクニックを詳細に解説。露出設定からピント、被写界深度、シャッタースピード、焦点距離、画角といった写真撮影の知識や技術を、図解と作例でわかりやすく説明しており、読み込むことで、撮影初心者にありがちな写真表現上の疑問を解決する一冊に仕上がっています。

本記事では、第3章「シャッタースピードの表現」より、シャッタースピードを変えながら動く被写体を撮影して撮れる写真の違いについて解説します。

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シャッタースピードのキホンを知れば写真の「静」と「動」が操れる

イルカがプールでジャンプする瞬間を1/4000 秒で撮影しました。1/4000秒の世界になるとイルカがジャンプした時の水しぶきが一粒一粒の水滴として写ります

シャッターはカメラに備わった重要な機構です。簡単に説明すれば、シャッターは光を通す門のような役割で、撮影するたびに開閉しています。実際のシャッター機構は先幕と後幕に分かれていて別々に動いていますが、撮影するうえでメカニカルな部分をそこまで気にすることはないでしょう。重要なことはシャッターが開閉する時間をコントロールすると、被写体がどのように変化するかです。

シャッターが開いて閉まるまでの時間のことをシャッタースピードと言います。シャッタースピードを速く設定すれば被写体は止まり、遅くすればぶれます。シャッタースピードの設定が難しく感じられるのは、選択できるシャッタースピードが多すぎるためです。多くのカメラは1/4000秒から30秒くらいまで1/3段ごとに設定を決められます。その結果、どのシャッタースピードを選べばいいか悩んでしまうのです。

筆者の場合、よく使うシャッタースピードをいくつか決めています。肉眼で見ている残像感に近い1/60秒をベースにして被写体が思いどおりの描写にならなかったら、イメージに応じてシャッタースピードを変えていきます。被写体をしっかり止める場合は 1/500秒、適度にぶらす場合は 1/30秒といった感じです。

作例はモデルに同じ動き(その場で回転)をしてもらい、シャッタースピードを変えて撮影したものです。シャッタースピードによって描写がどのように変わるのか参考にしてみましょう。

シャッタースピードによる写りの違いを見てみよう

1/8秒で撮影

1/8秒ではぶれが大きすぎて絵になっていません。1/30秒に設定すると全体的にぶれていますが顔はそれほど動いていないため、表情は分かります。

1/30秒で撮影

1/60秒で撮影

1/60秒では、厳しく見るとぶれはまだありますが、肉眼で見える雰囲気に近いです。1/125秒になると、細かなぶれはありますが顔はほぼ止まりました。

1/125秒で撮影

1/250秒で撮影

1/250秒に設定。コートの一部が少しぶれる程度ですが、だいぶクリアに見えます。1/500秒では、顔から服までのほぼすべてを止めることができました。

1/500秒で撮影

1/1000秒で撮影

1/1000秒、服のディテールや細かな動きまでしっかりと止まっていることが分かります。1/2000秒では完全に止まりぶれはまったく感じられません。

1/2000秒で撮影

Ueda’s Memo

シャッタースピードを優先的に設定する場合は、撮影モードを「シャッタースピード優先オート」(SまたはTv)に設定しましょう。また、「S(Tv)」モードで撮影する際は、ISO 感度をオートに設定するとよいでしょう。

ISO 感度をオートにすることで、露出不足などになった場合にセンサーが自動的に感度を上げてくれるので設定の手間が省けます。


初心者が真っ先に覚えたい! 写真の表現テクニック入門

著者プロフィール

上田晃司

(うえだ・こうじ)
写真家。広島県呉市出身。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強をしながらテレビ番組、CM 、ショートフィルムなどを制作。現在は雑誌、広告を中心に活動し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影する。ニコンカレッジ、LUMIXフォ卜スクール、Profotoオフィシャルトレーナーなど、年間100回以上の写真教室や講演を行う人気講師でもある。
http://www.koji-ueda.com/


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