ニッポンぶらりカメラ旅
第7回

旅のレンズはズームレンズ?単焦点レンズ?それぞれの旅に合う単焦点レンズがある

写真にハマっているアマチュアにとっては、「テーマはどんなものにすればよいか?」「撮影方法はどうすればよいか?」「上手に写真を撮るためには?」など、本気になればなるほど、堅く考えてしまうものです。そんな人達に写真家の丹野清志氏は、著書「ニッポンぶらりカメラ旅」の中で、肩ひじはらずにカメラを持ってふらっと旅をして、思いつくままに写真を撮ることを勧めています。「町から町へ、なりゆきまかせで移動していくと、いろいろな出会いがあり、出会いの一つ一つに心がふるえるのです。」と言います。
そんな心をふるわせる被写体に出会える旅はどうしたらできるのでしょうか?


本記事では、第2章「旅の写真を楽しむためのヒント」からのアドバイスをご紹介します。

ニッポンぶらりカメラ旅

>この連載の他の記事はこちら
>前回の記事はこちら

柴又駅前にはいつも寅さんがいます。

 

ズームレンズは万能なのか

ズームレンズは1本のレンズで広角から望遠までカバーするので、万能レンズと呼ばれてきました。ズームレンズはいまさら言うまでもなく、同じ位置でフレームを自在に変えることができる便利なレンズで、広角側から望遠側へズーミングして構図を決める瞬間などはズームレンズで撮る醍醐味です。

昔は特別なレンズでしたが、デジタルカメラではズームレンズが標準装備されていて、ズーミングして撮ることはあたりまえのことになっています。そういう時代にあえて単焦点レンズを使うのはなぜでしょうか。

昔は「単焦点レンズの特性を理解したうえでズームレンズを使うべし」と言われたものでしたが、ズームレンズがスタンダードなレンズとなっているデジタルカメラでは、逆にズームレンズを使いこなしたうえでの単焦点レンズを使うということになります。

定位置で画面を変えることができるフレーミング自在のズームレンズに対して、単焦点レンズは体が移動してフレームを決めることになります。比較したら不便なレンズです。しかしその不便さが心地よいのです。

ズームレンズは高倍率であるほどいろんな画角が組み込まれているので、どんな被写体でもカバーする。で、ついその便利さに頼ってしまい安易な撮り方になりかねない。

それに対して単焦点レンズは1つのフレームで撮るので、画角の変化に惑わされることなく、きちっと被写体と向き合うことになります。ズームレンズはレンズで撮る感覚ですが、単焦点レンズは体で感じとる緊張感があります。ちょいとかっこいい言い方ですけどね。

単焦点レンズは、人の動きとともに撮っていくのが面白い。

「柴又」にて
やっぱし旅の本ですから、寅さんにご挨拶と東京柴又へ。草だんごを食べて、矢切の渡しまで行き、船には乗らずに土手をぶらついて再び帝釈天。参道はしっかり寅さん観光しておりました。2 点とも富士フイルムX-T1+18ミリで撮影。

 

単焦点レンズは自分の目

私のぶらりカメラ旅は、単焦点レンズ1本で歩くスタイルなので、どうしても単焦点レンズへ肩入れしてしまうのですが、ズームレンズは構図の変化をを楽しむレンズであるのに対して、単焦点レンズは移動しつつ一つの構図で切り取るレンズ。まさにぶらりカメラ旅のためのレンズです。

前にズームレンズは標準ズームがよいと述べましたが、その焦点距離域内の単焦点レンズがぶらりカメラ旅に適した単焦点レンズということになります。つまり広角28ミリ、35ミリ、40ミリ、標準50ミリのいずれかということ。

1本選ぶとすれば何ミリか。選択ポイントは、ズームレンズで旅をして最も多く使う焦点距離です。つまりレンズの画角、描写が自分の視覚に合うということです。ミラーレス一眼であれば小さいレンズなので、広角と標準の2本のレンズを携帯する組み合わせもいいでしょうね。


「西船橋」にて
友人たちとの会話で地名が出て、ふらりと総武線に乗って西船橋。駅前周辺をぶらりぶらりと歩く。古くからの町角を探すように歩く。2点とも27ミリレンズ付きの富士フイルムX100で撮影。

写真に撮るとなんだかやっぱりヘンな感じですねぇ。[千葉県船橋市]

 

JR総武線西船橋駅前。駅を出て駅前風景を必ず撮る

 

ニッポンぶらりカメラ旅

 

著者プロフィール

丹野 清志

(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

主な写真集、著書
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)
町撮りアート写真ブック
ニッポンぶらりカメラ旅
お気に入りカメラで楽しむ自分流町歩き写真の方法
写真集のつくり方
写真教室では教えない“新スナップ写真”の方法
誰も教えなかった “自分流写真”の方法
[四季を味わう]ニッポンの野菜


関連記事