個人・企業を問わず普及が進んでいるドローンは、低コストで空撮をしたい場合に採れる最も有効な手段です。いまやミュージックビデオや映画、TV番組の制作、調査研究など、幅広い用途で活用されていますが、ドローンを使って空撮を行うに際しては、映像の基礎はもちろん、適切な高度やアングルを選ぶ操作技術のほか、関連する法令や飛行可能な区域なども把握する必要があり、適正かつ安全に運用するためのハードルは依然として低くありません。
「ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年」では、ドローンの構造から操作の基本、構図の作り方、飛行許可の申請にいたるまで、ドローンで空撮を行うにあたって必要な知識を幅広くカバー。プロユーザーの作例も収録しており、初めてドローンを扱う初心者にも理解しやすい一冊にまとまっています。
本記事ではチャプター4 「ドローン飛行に関わる各種法令を把握する」より、法令上ドローンが飛行できる区域についての解説を抜粋してお届けします。
航空法での飛行禁止区域と禁止条件
航空法とは航空機の安全を確保するための法律。以前まではドローンを直接的に対象とした規定はなかったが、2015年12月から施行された改正航空法で新たな条項が設けられた。
航空法132条第1項で定められている飛行禁止空域
飛行禁止空域で飛ばすためには申請が必要。違反の場合は罰則規定も
ドローンの進化は日進月歩で、数年前からは考えられないほどに性能が向上し、個人レベルでも空撮を楽しめるまでに価格もこなれてきた。しかし、その一方で誰でも飛ばせるようになったことで都市部やイベント等での墜落事故などの事例も増えていた。そんな最中、首相官邸へのドローン落下事件や善光寺ご開帳でのドローン少年事件なども起こり、緊急の法整備が求められることとなった。
以前までの航空法にはドローンに直接的に適用される規定がなく、航空法施行規則の「模型航空機」に該当するという考え方が一般的だったが、改正によって航空法上でその規定が明文化されることとなった。この改正航空法は国会での審議を経て、2015年9月に公布、12月10日から施行された。改正航空法の施行以来、月に千数百件の申請が寄せられているが、2018年3月以降は申請数も増加傾向にあり、月に3000件を超える申請が寄せられているという。
そもそも航空法は、航空機の航行の安全・利用者の利便の増進を図るために制定された法律。運航の妨げになるおそれがある空域(下図)での飛行は禁止されている(①地表から150m以上の空域、②空港やヘリポート周辺)。それに加え、③人口集中地区(DID)での飛行も制限されている。これらの場所で、無断でドローンを飛ばした場合は50万円以下の罰金を課せられることもあるので、自分が飛ばす場所がこれらにあてはまるのかどうかは事前にチェックしておきたい。DIDや空港などの飛行禁止区域はスマートフォンのアプリで現在地とともに確認できる。また、高度に関してはDJI製品の場合はDJI GO 4アプリ上で最大高度の設定を149mにしておけば上限を超えることはない。
航空法が適用されるのは200g以上のドローン
ドローンの飛行禁止区域はアプリで確認できる
ドローンフライトナビ(iOS)