オールドレンズ・ライフ
第6回

オーバーイメージサークルで周辺描写の流れを楽しむ Tessar 3cm F2.8

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、デジタルカメラ全盛の現代において「オールドレンズ」と呼ばれて人気を集めています。人気のきっかけとなったのは、ミラーレスカメラの普及でした。オールドレンズのほとんどは、そのままでは現行機種のカメラに装着できませんが、マウントアダプターと呼ばれるパーツを用いれば、現代のミラーレスカメラに取り付けが可能。そこから「レンズ遊び」が支持を集めるようになったのです。

写真家・ライターの澤村徹氏は、書籍「オールドレンズ・ライフ(玄光社刊)」シリーズで7年に渡ってオールドレンズの楽しみ方を紹介してきました。その集大成として刊行されたのが「オールドレンズ・ベストセレクション」。ここで採り上げた172本の魅力的で個性的なオールドレンズの中から、本記事では、Tessar 3cm F2.8をご紹介します。

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テッサーをシネレンズ風に味わう

α7 + Tessar 3cm F2.8 絞り優先AE F2.8 1/8000秒 ISO100 AWB RAW ノンフードで撮影すると、豪快にフレアとゴーストが発生する。合焦部は開放でも滲みはない。

ロボットは1930年代に登場した目測式のカメラだ。軍艦部に大きなゼンマイを備え、これを巻き上げることで連写を実現する。35ミリ判フィルムに24×24ミリのスクエアフォーマットで撮影するのが特徴だ。このロボットレンズをフルサイズ機のα7シリーズに付けると、レンズのイメージサークルを超えて像が写る。そのためシネレンズでデジタル撮影した時のように、周辺部が大きく流れ、ダイナミックな描写が可能だ。

ここではロボットレンズの例として、テッサー3センチF2.8を取り上げてみた。まるでレンズキャップのように薄い広角レンズだ。本来の画角で使うとテッサーらしく真面目に写るレンズだが、24×24ミリを超えた領域は四方に向かって激しく流れ、このレンズでしかなし得ない世界観を見せてくれる。Cマウントレンズをマイクロフォーサーズで使ったことのある人なら、オーバーイメージサークルでの写りを想像できるだろう。

ちなみにこうした写りは昔からライカユーザーの間で人気があった。ロボットレンズのM型ライカでの流用は定番スタイルだ。

Tessar 3cm F2.8 / Mount : Robot mount / Bland : Carl Zeiss / 中古価格:40,000~50,000円 ロボットの歴史は古く、このレンズも戦前の1934年に登場した。レンズ構成は3群4枚のテッサー型。最短撮影距離は0.5メートルだ。

α7II + Tessar 3cm F2.8 絞り優先AE F5.6 1/500秒 +0.7EV ISO400 AWB RAW フルサイズ機での撮影は、レンズのイメージサークルを越えて像が写る。上下の像が流れ気味なのがわかるだろうか。こうしたローファイな描写がロボットレンズのおもしろさだ。

 


<玄光社の本>

オールドレンズ・ベストセレクション

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura


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