映像作品などで目にする「画面」の雰囲気は、色合いや明るさなどいくつかの要素によって演出されます。普段何気なく観ている映像作品も、よくよく見てみると登場人物の心理状態や物語の展開によって色合いが調整されていることがわかるでしょう。こうした画面の調整を一般に「グレーディング」といいます。
RAW現像ソフトなどに搭載されている「カラーグレーディング」機能は、元々映像の分野で用いられてきたグレーディングの手法を写真表現に活かす目的で取り入れられたものです。使いこなせば、写真に映画のワンカットのような雰囲気を加えることが可能になります。
「Lightroom カラーグレーディング活用BOOK」では、写真家の藤田一咲氏が、写真のカラーグレーディングを行う上で押さえておくべき色の基礎からシーンごとの作例、簡単に試せるパラメータ設定集など、写真表現の幅を拡げる知識やテクニックを多数掲載しています。
本記事ではChapter2「日常や旅先の写真の雰囲気を変える -スナップ」より、クロスプロセスで現像したような独特の色合いに調整する方法を紹介します。
現実とは大きく異なる色合いに/ブルー・グリーンのクロスプロセス
非現実的な表現を楽しむ
クロスプロセスとは、フィルム現像において本来の方法とは違う処理を行うことで、現実とは異なる色調、コントラストにする表現手法です。ここでは、そんなクロスプロセスの大胆な色調の変化とフィルムの質感の表現方法を紹介します。
Before
撮影データ:絞り F4 シャッター速度 1/1,800秒 ISO 100 WB 晴 カメラ FUJIFILM X30 レンズ FUJINON ASPHERICAL LENS SUPER EBC f=7.1-28.4mm 1:2.0-2.8
After
- カラーグレーディング
- シャドウ 色相:230/彩度:60/輝度:+20
- 中間調 色相:90/彩度:75/輝度:-15
- ハイライト 色相:50/彩度:90/輝度:-25
- ブレンド 50
- バランス +45
- 全体 色相:65/彩度:35/輝度:+30
#05 FILM LOOK-XPRO
1. 基本補正を行う
POINT:彩度を大きく落とす
[基本補正]パネルを開き、以下のように設定する
- 色表現 カラー
- プロファイル Adobe 標準
- WB 色温度:5,200 *適切な色温度に補正する
- 階調 「自動補正」を適用する *必要に応じ設定値を変更する
- 明瞭度 +30 *画像を硬い印象にするため
- 自然な彩度 +95
- 彩度 -35
2. トーンカーブを調整する
POINT:フィルムルックにする
[トーンカーブ]パネルを開く
●ポイントカーブ
トーンカーブを下図のように
調整する
A: 入力:0/出力:15
B: 入力:255/出力:240
3. シャープを調整する
POINT:フィルムルックの柔らかさにする
[ディテール]パネルを開き、
以下のように設定する
●シャープ
適用量:25/半径:1.0/ディテール:25/マスク:0
4. カラーグレーディングを行う
空が強いグリーンの色調になるように中間調、ハイライトを調整する *ハイライトとシャドウは補色
[カラーグレーディング]パネルを開く。それぞれのエリアの[詳細]パネルを選択し、以下のように設定する
- シャドウ 色相:230/彩度:60/輝度:+20
- 中間調 色相:90/彩度:75/輝度:-15
- ハイライト 色相:50/彩度:90/輝度:-25
- ブレンド 50 ●バランス +45
5. 全体的にイエロー系の色調を加える
POINT:[全体]を使う
[全体]パネルを開き、以下のように設定する
●全体 色相:65/彩度:35/輝度:+30
6. 効果を加える
周辺を暗くして画像を引き締める
粗い粒子感を加える
[効果]パネルを開き、以下のように設定する
●切り抜き後の周辺光量補正
スタイル:ハイライト優先/適用量:-20/中心点:50/丸み:0/ぼかし:50/ハイライト:0
●粒子 適用量:50/サイズ:50/粗さ:85
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