ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第51回のテーマは「窓」です。
「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。
撮影のポイント
1. 正面や目の高さだけでなく、様々な角度、高さから窓外の見え方を観察しよう。
2. 窓の外と内、どちらに露出を合わせるかで雰囲気をガラリと変えられる。
夕方、小さな窓から見えた外の光景が、青くていいなと思ったのでシャッターを切りました。窓の外に露出を合わせたので、部屋の中は真っ暗になり、黒い壁に青っぽい絵が飾ってあるような雰囲気に仕上がりました。真正面から撮ると、より絵画のようですね。
見る位置を変えて観察しよう
窓は、絵画の「額縁」だと思ってみましょう。窓の向こう側の風景は、描かれた絵です。そう考えると「自分の好きな絵が飾ってある」と感じられる場合にシャッターを切れば、良い雰囲気に仕上がります。もちろん、窓の真正面から撮ってもいいのですが、正面以外(斜め横など)から撮っても面白いです。斜めから窓を眺めると、正面から見るのとは違った風景が見えたりします。窓を見つけたら、目線の高さだけではなく、様々な角度から観察してみるようにしましょう。
露出のコントロールが大事
日中の場合、窓辺には外からの光が差し込んでいることがほとんどです。窓の周辺に光が差している場合は、露出のコントロールで、絵の雰囲気をガラリと変えることができます。外(景色)の方に露出を合わせると、室内がよほど明るくない限り、部屋の中は真っ暗になり、黒い壁に絵が飾ってあるような雰囲気になります。窓から見える景色を強調したい場合は、この撮り方がおすすめです。逆に、部屋の中に露出を合わせると、部屋の中の光景までしっかり写すことができます。
うちの事務所の窓辺です。大きなガラス窓を濡らす雨粒が美しいと思いました。実際は曇っていて暗かったのですが、私は妙に清々しい空気を感じたので、全体的に露出を上げて、白く明るく写しました。
北海道にて。目覚めると、窓の外に朝焼けでオレンジに染まった雲と、枯れた木が見えました。その感じが良かったので、寝転んだままの姿勢で写真を撮りました。下から窓を眺めると、新しい発見があると感じました。
北海道へ向かう途中、飛行機の機内で撮った一枚です。澄んだ青空をバックに、いただいた飲み物をパシャリ。窓の存在のおかげで、飛行機に乗っていることを表現できたと思います。窓は自分の現在位置を示す役割もありますね。