「考えるような被写体はいらない。絵になる絶景もいらない。決定的瞬間もいらない。何か気になるのがアート写真。ありふれた町風景もアート写真」写真家の丹野清志氏は、著書「町撮りアート写真ブック」で、町で見つけたものを、思いつくままに写真を撮って楽しむことを勧めています。本連載では、丹野氏が日常の周辺にあるものをキーワードとして撮った“アート写真”をご紹介します。今回のキーワードは、「背中」です。
キーワード「背中」
町でのスナップ撮影が困難になってきたと言われて久しいけど、町の写真はすべてスナップなのだから撮ることにギクシャクしていたら写真にならない。後ろ姿も肖像権とやらでモンダイになるのかな、と思いながら後ろ姿にカメラを向ける。肖像権などは抜きにして、後ろ姿の写真はなかなかいいもので、物語が浮かぶ。背中、となればやっぱり男かなあ。でも、鶴田浩二ふう渋い背中にはなかなか出会わない。
<玄光社の本>