「考えるような被写体はいらない。絵になる絶景もいらない。決定的瞬間もいらない。何か気になるのがアート写真。ありふれた町風景もアート写真」写真家の丹野清志氏は、著書「町撮りアート写真ブック」で、町で見つけたものを、思いつくままに写真を撮って楽しむことを勧めています。本連載では、丹野氏が日常の周辺にあるものをキーワードとして撮った“アート写真”をご紹介します。今回のキーワードは、「路地」です。
キーワード「路地」
大通りから細い道にそれて路地へ入り、いいなあと感じた時は、充実した町撮り歩きになっている。以前はいかにもその土地の人らしき人に話を聞くことがあったが、最近は向こうから声がかかる。すれ違った男が「写真撮るならいいとこあるよ」と声をかけてくる。町歩きのヒントにはならないのだけれど、ひとしきり町の“いいところ”を説明してくれるのを聞く。といっても右から左へ聞き流す。別れ際に後ろ姿を入れた路地を撮る。
<玄光社の本>