ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年
第6回

飛行申請手続きの流れ

個人・企業を問わず普及が進んでいるドローンは、低コストで空撮をしたい場合に採れる最も有効な手段です。いまやミュージックビデオや映画、TV番組の制作、調査研究など、幅広い用途で活用されていますが、ドローンを使って空撮を行うに際しては、映像の基礎はもちろん、適切な高度やアングルを選ぶ操作技術のほか、関連する法令や飛行可能な区域なども把握する必要があり、適正かつ安全に運用するためのハードルは依然として低くありません。

ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年」では、ドローンの構造から操作の基本、構図の作り方、飛行許可の申請にいたるまで、ドローンで空撮を行うにあたって必要な知識を幅広くカバー。プロユーザーの作例も収録しており、初めてドローンを扱う初心者にも理解しやすい一冊にまとまっています。

本記事ではチャプター4 「ドローン飛行に関わる各種法令を把握する」より、ドローンを飛ばす前に行う承認申請の具体的な流れの一例を紹介します。なお記事内では郵送の手順を紹介していますが、飛行申請手続きに関して国交省は現在、オンラインサービス「DIPS」の利用を推進しています。

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ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年

STEP1:書類を揃える

申請書類は国土交通省のWEBサイトでダウンロードできる。

国土交通省WEBサイト「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」にアクセスし、左上の「申請手続きについて」をクリック。サイトには飛行ルールやガイドライン、最新情報なども掲載されている。

ここではWord形式で申請に必要な書類一式や航空局が作成した標準の飛行マニュアルをダウンロードできる。書類の記載例や提出前のチェックリストもこちらのページに用意されているので合わせて確認しておきたい。

STEP2:書類を提出する(書類の添削や事前相談も可能)

東日本・西日本で提出先の窓口が異なる

2017年4月1日から新潟・長野・静岡を境界に東日本は東京航空局に、西日本は大阪航空局に書類を提出することになった。各地方航空局長に対して飛行許可の申請を行う。

書類は郵送前にメールで送ると不備を添削してくれる

申請書類は郵送前にのメールに送ると、書類の不備や間違い等を添削してくれる。2017年2月には「無人航空機ヘルプデスク」も開設され、書類作成等の不明点の相談に乗ってもらえる。

郵送時は書類と返信用封筒を同封

申請書は左の窓口に郵送で送付する。申請書類一式と飛行マニュアルに加えて許可証を郵送するための返信用封筒(82円切手を貼り付ける)を同封すること。

150m以上の飛行と各空港が定める進入表面での飛行許可の申請は、事前にその空域を担当する空港等の管理機関との調整が必要。調整後に、航空局への申請を行う。

STEP3:審査期間

10開庁日前までに書類を提出

最終的な申請は土日祝日を含まない10開庁日前までに行う。10日前ではなく「開庁日」なので注意。また、STEP2のメールによる事前確認の期間は、この審査期間には含まれない。

STEP4:審査完了・許可証発行

審査基準

飛行許可の審査基準は下の3点。申請のための提出書類もこれらのポイントを証明するためのもの。審査が通ると、返信用封筒で許可証が送られてくる。

  • 無人航空機の機能及び性能
  • 無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等
  • 安全を確保するために必要な体制等

包括申請や最大1年までの許可・承認期間継続も可能

同一の申請者が異なる複数の場所で飛行させる場合には、それらを包括して申請することができる。

空撮の委託を受ける事業者や複数の人が飛ばすイベントなどを催す場合はその代表者がまとめて申請を届け出できる。

許可・承認の期間は原則3カ月までとなるが、申請内容に変更なく継続飛行させることが明らかな場合は最大1年まで認められる。

申請書類と飛行マニュアルを提出

航空法の定める飛行禁止区域や飛行方法に関わる形でドローンを飛ばす場合には事前の申請が必要になる。

2018年4月からは電子申請システム「DIPS」が開始され、オンラインでも申請が可能になったが、ここでは主に郵送の流れを紹介した。

申請書のフォーマットは航空局WEBサイトでダウンロードできる。DJI製品など航空局が認定するドローンを使う場合には一部書類の提出を省略できる。また、航空局が認める団体の講習を受けた場合は、その修了を証明する書類を添すれば、操縦者の技能を証明する書類の提出を省略でき
る。詳しくは航空局のWEBサイトで確認してほしい。

また、申請書と合わせて提出する書類に「飛行マニュアル」がある。これはドローンを飛ばす際のルールについて記載したものだが、航空局が「標準飛行マニュアル」(本記事掲載時点で2018年2月1日版)として配布している。これを読んで、自身の運用と照らし合わせて問題がない場合には、この書類を提出する。標準マニュアルに記載がない場合は独自に飛行マニュアルを作成し、航空局に確認してもらい、認可を受けるという流れになる。

包括申請も手続きは共通

ちなみに包括申請を行う手順も通常の申請手順と同様の手続きになる。ただし、包括申請を取得した場合には3ヶ月に一度飛行実績の報告を行う必要がある。報告書の書式は自由だが、Excelのフォーマットと記載例が下記サイトに掲載されているので、包括申請をした方はチェックしてほしい。


ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年

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