個人・企業を問わず普及が進んでいるドローンは、低コストで空撮をしたい場合に採れる最も有効な手段です。いまやミュージックビデオや映画、TV番組の制作、調査研究など、幅広い用途で活用されていますが、ドローンを使って空撮を行うに際しては、映像の基礎はもちろん、適切な高度やアングルを選ぶ操作技術のほか、関連する法令や飛行可能な区域なども把握する必要があり、適正かつ安全に運用するためのハードルは依然として低くありません。
「ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年」では、ドローンの構造から操作の基本、構図の作り方、飛行許可の申請にいたるまで、ドローンで空撮を行うにあたって必要な知識を幅広くカバー。プロユーザーの作例も収録しており、初めてドローンを扱う初心者にも理解しやすい一冊にまとまっています。
本記事では前回に引き続き、チャプター4 「ドローン飛行に関わる各種法令を把握する」より、ドローンの飛行に先立って必要となる承認申請と、承認が必要になる飛行方法の一例をお伝えします。
飛行の方法に関する規定
航空法では飛行方法に関しても事前申請が必要になる行為として下記の項目を規定している。前述の飛行規制空域以外の場所であっても、これらの飛行方法でドローンを飛ばす場合には、航空局に事前の承認申請を行う必要がある。
空撮の場合、「危険物の輸送」や「物資の投下」は行うことはないかもしれないが、「イベント上空での飛行」は、祭りや縁日、展示会、コンサート、スポーツ大会などが該当する。集合する人の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうかも判断基準になるという。自分が撮影するイベントがこれに該当するのかわからない場合は、事前に航空局に問い合わせてみるのがいいだろう。
「目視」での飛行はメガネやコンタクト着用での飛行は、含まれるものの、双眼鏡や補助者による監視は含まれない。FPVゴーグルを使った飛行の場合にも屋内施設などで訓練を受けたうえで申請が必要になる。また、第三者が撮影現場にいる場合には監視者を配置することが規定されている。
「第三者と第三者が所有する物件に30m以内に近づく飛行」も禁止されており、プロペラガードを着用するなどの安全対策を施した上で申請が必要になる。
「夜間飛行」にも屋内施設での訓練を受けた上で申請を行い、実際に飛行する場合にはドローンの位置や姿勢が確認できる灯体を設置したり、離着陸場所に照明を設置。そして、第三者がいる現場では監視者の配置といった対策が求められる。
空港周辺では制限表面より上空が規制対象
制限表面とは、航空機の安全な航行を目的として飛行場周辺に設定されているもの。これより
上空でのドローンによる飛行を行う際には、航空法の申請が必要になる。上図は、東京・成田・
中部・関西国際空港および政令空港で採用されている制限表面の例。多くの空港では水平表
面と転移表面までが設定されているが、大きな空港になると、それに加えて円錐表面や外側水
平表面、延長進入表面という制限表面が設けられている。
空港ごとに飛行禁止エリアが異なる
大型の空港では概ね半径24km、それ以外の空港では半径6kmの範囲が制限表面に指定されていることが多い。この範囲は空港ごとに異なるので、その付近を飛行させる場合には、各空港等の管理者に確認する必要がある。おおまかな図面は航空局WEBサイトで掲載している。