かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができますが、これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つです。
「オールドレンズ・ライフ 2018-2019」においては、数あるオールドレンズの中でも性能面で個性が際立つ「中望遠オールドレンズ」を特集。正統派レンズからクセ玉まで、バラエティ豊かなキャラクターのレンズたちを作例とともに紹介しています。本記事では、「Nikkor P・C 8.5cm F2」の作例と解説を抜粋して掲載します。
フィールドで映えるハイコントラスト Nikon「Nikkor P・C 8.5cm F2」
ニッコール P・C 8.5cm F2は、戦後、ニッコールレンズの実力を世界に知らしめた立役者だ。LIFE誌の専属カメラマンだったデビッド・ダグラス・ダンカン氏が、来日した折にこのレンズと出会い、そのシャープな描写を絶賛したと言う。
その後、ダンカン氏はニッコールレンズで撮った写真を次々にLIFE誌で発表する。ニッコールP・C 8.5cm F2は、ニッコールレンズをワールドクラスに押し上げる契機となったのだ。
シャープさで名を馳せたレンズだが、デジタルカメラとの組み合わせで実写してみると、開放はわずかに滲み、線はやや太めだ。ただし、開放からコントラストが強く、被写体が切り立って見える。とても印象深く被写体を切り取ってくれるレンズだ。ダンカン氏のエピソードに敬意を表し、旅やストリートなど、フィールドに出て力強く被写体に迫りたくなるレンズだ。
character notes
描写力:★★★
ク セ:★★★
機動性:★★★★
コスパ:★★★★
フードを外すと標準レンズと変わらぬほどにコンパクトだ。ストリートや旅で使いたい。