オンラインショップの商品写真は、その商品の売上を左右する大きな要素のひとつです。商品の販売を前提に撮られる「商品写真」は、単にきれいな写真であればいいわけではなく、写真を見た人に商品の特長や魅力をしっかりと伝える写真でなくてはなりません。
「売上がアップする商品写真の教科書」では、機材選びから被写体別の撮影テクニック、ライティング、レタッチ、SNS活用にいたるまで、商品撮影の実務にまつわる知識と技術を、詳細かつわかりやすく解説しています。
本記事では、4章「撮影の基礎知識」より、スマートフォンを使った商品の撮影方法をお伝えします。
明るい場所で撮影しよう
スマートフォンの撮影は、基本的にはデジタル一眼レフの撮り方と一緒だ。商品が魅力的に見えるようにスタイリングして、ピントをきちんと合わせ、明るさを調節して撮ればいい。しかし、スマートフォンは高感度で撮影するとノイズが出てザラザラになってしまうという難点がある。ISO感度が設定できる機種なら低感度に設定すればいいが、ISO感度が設定できないiPhoneのような機種は、明るい場所で撮影する必要があるので注意しよう。
Android
Android は多くのメーカーが作っているので、機種によって性能や機能はさまざま。露出補正、ISO 感度、ホワイトバランス、測光モード、HDR、シーンモードなど細かく設定できる機種が多い。
iPhone
設定項目は、フラッシュ、HDR、セルフタイマー、フィルターなど、機種やOS のバージョンで異なるがシンプル。ISO感度やホワイトバランスはオート。ピント位置や明るさは画面のタッチで行い、画面の長押しでAE/AF ロック、ピンチでデジタルズームが使える。
スマートフォン用三脚ホルダーを使う
スマートフォンで商品撮影をする場合も三脚撮影が基本。ポジションやアングルの調整が大切になるので、三脚ホルダーを使って普通の三脚に固定するのがおすすめだ。シャッターボタンを押したとき、ブレる可能性があるのでセルフタイマーで撮影しよう。iPhone はイヤホンの音量ボタンでシャッターが切れるので、レリーズケーブルとして使うことができる。
撮影するスマートフォンのサイズ(幅や厚み)に対応するか確認してから購入しよう。
2カ所に三脚ネジ穴が付いているタイプがおすすめ。
広角レンズで歪まないように撮る
ほとんどのスマートフォンのカメラは、記念写真や風景なども撮れるように、28mm 前後の広角単焦点レンズを採用しているため、画像の周辺部が歪みやすい。歪まないように撮るには、商品の正面、もしくは真俯瞰で、少し離れた場所から撮影する。離れて撮影するので周囲に余計なものが写ってしまうが、トリミングして構図を整えよう。
スマートフォンの撮影方法
○ 離れた場所から撮影
余計なものが写ってしまうが、歪みが出にくい。
○ 撮影後にトリミング
ウェブ用に使うなら撮影画面の高さや幅に対して商品が3分の1程度の大きさで撮るといいだろう。
× 斜め上から撮影
角度をつけて撮影すると、パースがついて形が歪んでしまう。
× 正面から撮影
商品の正面から撮っても、商品に近いと歪んでしまう。
- 離れた場所から真正面で撮影し歪みが出ないように撮影する。
- トリミングで構図を整え、便利なアプリで仕上げる。
便利な写真編集アプリ
Google が開発した写真編集アプリ。明るさやコントラスト、彩度、ハイライト、シャドウ、色温度など細かな[色調補正]や、パースの歪みを補正する[変型]など本格的な補正が可能。
200種類以上のフォントが無料で使用でき、日本語のフォントも豊富。縦書きにも対応する。文字入れだけでなく、色や傾き、影や縁取りなどの細かい調整もできる。
露出、コントラスト、彩度、明度、色相などの基本調整ができる。「ぼかし」で選択部分をぼかしたり、「スプラッシュ」で特定のカラーを強調することが可能。「修復」を使って汚れなども補正できる。