売上がアップする商品写真の教科書
第7回

プロの撮影テクニック 来店したくなる店舗の外観を撮る

オンラインショップの商品写真は、その商品の売上を左右する大きな要素のひとつです。商品の販売を前提に撮られる「商品写真」は、単にきれいな写真であればいいわけではなく、写真を見た人に商品の特長や魅力をしっかりと伝える写真でなくてはなりません。

売上がアップする商品写真の教科書」では、機材選びから被写体別の撮影テクニック、ライティング、レタッチ、SNS活用にいたるまで、商品撮影の実務にまつわる知識と技術を、詳細かつわかりやすく解説しています。

本記事では、1章「目的別実践テクニック」より、飲食店の外観を撮る際のコツをご紹介します。

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売上がアップする商品写真の教科書

【例】飲食店検索サイトに掲載する店舗写真を撮影する

周囲の電線や看板など、余計なものが入らないように、真っ正面から撮影。道路に面した店舗だったので、人通りが少ない早朝の時間に撮影した。ただし、夜しか営業していない店舗は、店先の印象を伝えるため夜に撮影しよう。

写真の目的:製品写真
訴求イメージ:ウッドデッキのオープンテラスがある。
ターゲット:20~40代女性、家族連れ
スタイリングのポイント:建物の光の当たり方によって見え方が変わるが、基本は晴天の順光であれば外観がくっきりと撮影ができる。環境によってそばにある電柱や高い建物の影が入ることもあるため、撮影前にどの時間がきれいに見えるのか確認をしておく方がスムーズである。

  • 店舗前を清掃し看板などを整え、余計なものを写さない。
  • 寄りで周辺アイテムも撮影する。可能なら順光の時間帯を狙う。

検索サイトで多くのお店の中から選ばれるためには、口コミの他に、写真のクオリティーも集客に大きな影響を与える。写真の印象を良くするため、周囲の余計なものは極力写さないように気をつけよう。

また外観撮影は、初めて来る人でも分かりやすいように、正しい情報を伝える必要がある。店舗の入口全体は、店名の看板やお店を象徴するものがよく見える角度から写そう。

おしゃれなイメージカットを撮る

店舗の外観は、看板や照明、ドアや窓辺、花や置物など写真映えするモチーフが多い。お店の紹介や雰囲気などを伝えるためのサブカットとして、雰囲気重視のイメージカットも同時に撮っておこう。

花や窓辺など象徴的なモチーフは画になりやすい。基本は横位置で撮影するが、縦位置の写真も撮っておくと後々使いやすい。

扉のドアノブに手をかけて体の一部分を入れたり、入口を少し開けて中の様子を見せたりする写真は、臨場感を伝えやすい。

ピントを合わせた被写体と、手前の前ボケを対角線上に配置すると、視線が手前から奥へと誘導される。視線の動く写真は、印象が残りやすくなる。

撮影前に、店先を清掃して、看板やテラス席の椅子やテーブルの位置を整える。水平垂直を正しく出すため、店舗の前の道路の端に三脚を立てて撮影した。太陽の光が順光だったため、店舗の色がくっきり出た。

離れられないときの撮影方法

外観撮影は、望遠で離れた場所から撮るのが基本だが、離れられない場所もある。臨機応変に対応して、イメージの良い写真を撮ろう。店舗全体を撮るなら、斜めの位置から広角レンズを使うと良い。左右に余計な情報が入ってしまうときは、縦位置で撮影するか、撮影後にトリミングをする。雑居ビルに入っているような店舗は、無理して全体を撮ろうとせず、お店のロゴのアップだけを撮ったほうが印象が良く見えることが多い。

後ろに下がれない場所では、店舗全体が写る位置まで下がり、広角を使ったり、縦位置で撮ったりと工夫しよう。

余計なものが写らないように、店名やロゴが分かる看板などに近づいて撮る。

 

 


売上がアップする商品写真の教科書

 

著者プロフィール

やまぐち千予


料理・スイーツ・人物を中心に、多くの企業広告の撮影を行っている。優しく生き生きとした「ストーリーのある」写真撮影が特徴。デジタルハリウッド大阪校講師、FUJIFILM Xセミナーズ講師など活動は多岐。著書に「売上がアップする商品写真の教科書」(玄光社)、「これからはじめる デジタル一眼カメラ 写真と撮影の新しい教科書(SBクリエイティブ)がある。

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