写真を撮る、とは「被写体を記録する」と同時に、「光を写しとる」行為でもあります。カメラは写真を撮るための道具ですが、その原理上、単体では不可能か、あるいはきわめて難しい写真表現も存在します。
三脚、ストロボ、フィルターという機材は、それぞれカメラを固定する、光を発する、光の質を変えるという単機能を持ちながらも、それぞれをうまく使うことで、写真のクオリティを大きく上げられる奥の深い機材です。
「三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック」は、これらの機材に関する基礎知識に加えて、機材の選び方、具体的な活用方法、プロカメラマンが実際に使っているテクニックまでを余すところなくカバーしている一冊です。
本記事では、三脚を使う際の注意点に加えて、一脚と雲台の使う際のポイントを解説します。
三脚を使うときの7つのステップ
三脚を効果的に利用するには、うまく取り扱うためのテクニックも必要です。ここでは実際に三脚をセットする際のテクニックを7 つのステップに分けて解説します。
STEP1:まずは目視で目安を付ける
三脚で構図を決める行為は、あくまで一度決めた構図をより吟味しながら深めていく作業です。そのためにまずは、目視で撮りたい情景の構図を大まかに決めてから三脚をセットしましょう。
STEP2:脚は太いほうから伸ばす
三脚は、脚径の太い上段の脚から伸ばすことでバランスの取れた組み立てができます。また、脚を伸ばし切らず途中で止めてセットする際は、脚を揃えて伸ばすと脚の長さを均等にセットできます。
STEP3:しっかり広げる
三脚の脚はしっかり開け切って使うのが基本です。広げた際は一度三脚を軽く押さえてみて、安定感を確認してみるのも良いでしょう。このとき三脚が下に沈んだら、脚ロックが緩んでいる証拠です。
不安定な場所で撮る場合
三脚の脚は均等に伸ばしてバランスを取るのが基本ですが、撮影は平坦な場所ばかりではありません。岩場や段差のある場所などでは、うまく水平を出すために脚の長さを個々に微調整しましょう。
STEP4:1本の脚を前に出す
3本の脚はレンズの方向に1本を伸ばし、2本は左右に開いて配置するのが基本です。重量のあるレンズを使う場合に、前に三脚が倒れにくくなったり、脚部に足を引っかけてしまう失敗も防げます。
STEP5:カメラを取り付ける
カメラは脚を伸ばしてから取り付けます。カメラを取り付けてから脚
を伸ばすのは危険です。三脚がひっくり返る恐れがあります。複数のカメラを使う場合は、クイックシュータイプの雲台が便利。
望遠レンズの場合
望遠レンズを使う場合は、レンズの三脚座を雲台へ取り付けます。三脚座を使わないと、重量のある望遠レンズは重心が前に出てしまい、安定感が著しく損なわれてしまうので注意しましょう。
STEP6:エレベーターで微調整する
脚部で高さを決め、カメラを取り付けたら、構図を具体的にハンドルやつまみを使って吟味します。この際に高さを補うのに使うのがエレベーターです。3本の脚の長さを調整する手間が省けます。
STEP7:リモートコントローラーを使って撮る
三脚撮影では、遠隔からシャッターが切れるリモートコントローラーを使う機会も多いです。直接シャッターボタンに触れないことで、カメラを動かさず確実にブレを防げます。
一脚の使い方のポイント
一脚は脚が1本しかないため、自分の足をもう2本の脚部に見立てて利用するイメージを持つことが大事です。両足をしっかり肩幅程度まで開き、一脚を両足の真ん中に置いて安定させます。カメラの高さは自分のアイレベルの位置がベストです。
雲台と脚部の付け外しのポイント
雲台を個別に購入する際は、脚部への取り付けもきちんと行いたいです。注意点を3つ紹介します。
取り付ける際のポイント
雲台は脚部のネジを雲台側のネジ穴に回し込んで固定しますが、少しでも緩むとブレの原因になります。しっかり動かなくなるまで回します。
3WAY 雲台の場合、ハンドルを使って回すのは厳禁。ハンドルが壊れるので注意しましょう。
取り外す際のポイント
雲台を脚部から取り外す際には、雲台を水平移動するのに使うパンストッパーをしっかり締めてから行います。ここが緩んでいると、うまく外せません。この部分は硬くなっていることがほとんど。取り扱いには注意しましょう。
ネジとネジ穴の形状の確認
脚部の雲台取り付けネジには小型のUNC1/4型と大型のUNC3/8型の主に2 種類があります。取り付ける際は、雲台側のネジ穴の形状を確認しましょう。なお、下のように両軸に対応するネジもあります。
<技術評論社の本>