写真を撮る、とは「被写体を記録する」と同時に、「光を写しとる」行為でもあります。カメラは写真を撮るための道具ですが、その原理上、単体では不可能か、あるいはきわめて難しい写真表現も存在します。
三脚、ストロボ、フィルターという機材は、それぞれカメラを固定する、光を発する、光の質を変えるという単機能を持ちながらも、それぞれをうまく使うことで、写真のクオリティを大きく上げられる奥の深い機材です。
「三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック」は、これらの機材に関する基礎知識に加えて、機材の選び方、具体的な活用方法、プロカメラマンが実際に使っているテクニックまでを余すところなくカバーしている一冊です。
本記事では活用方法を紹介する前段として、三脚と雲台を使うことによって得られるメリットとデメリットについて確認します。
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三脚を効果的に使って表現領域を広げていく
三脚は、写真撮影でもっとも利用される機会の多いアイテムと言えます。三脚が効果を発揮するのは、何と言っても手ブレを防ぎたい場面でしょう。
しかし、単に手ブレを防ぐだけならば、ISO感度を上げて高速シャッターにすればOKです。ただし、高感度にすればノイズが発生しやすくなりますし、ある程度その場が明るくないと難しくなります。三脚を使う最大のメリットは、低ISOで高画質を維持したまま、手ブレを防げることにあるのです。
また、撮影をスムーズに進めるためにも三脚はよく使用されます。三脚を使うことで、構図を安定的に決められたり、シビアなピント合わせをより簡単に行えるようになったりします。さらには、重いカメラやレンズを支える目的で使用することもあります。このように、三脚はブレ防止に使うだけではもったいない「万能なアイテム」なのです。
1. 手ブレを防げる
ひと口に手ブレといってもその原因はさまざまです。三脚があれば、その多くのブレに対応できます。
手ブレ全般への対応
普通に構えて撮っているつもりでも、手ブレは意外に生じているものです。三脚を使えばISO 感度やシャッター速度の数値を気にせずに、確実に手ブレを軽減できます。
望遠による手ブレ対応
わずかな体の揺れも写真に反映されやすい望遠レンズでは、シャッター速度を速くし、三脚を使って撮るのが確実です。
絞り込むことでの手ブレ対応
被写界深度を深くするために絞りを絞り込むと、シャッター速度が遅くなり、手ブレも生じやすくなります。ここではF16まで絞り、全体にピントを合わせました。
低速表現時の手ブレ対応
写真撮影では動く被写体に対し、うまくブラして動感を演出することがあります。こうした画づくりでは手ブレは厳禁。必ず三脚を使用して撮影します。
2. 構図を吟味できる
構図を吟味したい場面でも三脚は便利です。その都度構え直す必要もなく、画面内の要素を整理できます。
自然風景
自然風景は構図にしっかり注目し、要素を整理しながら撮りたい被写体の1つです。周囲をどのくらいまで入れ込むか、どんなふうに要素を配置するか、細かく確認しながら撮影できます。
ポートレート
ポートレートでは背景を変えず、同じ構図のまま撮りたい場面で三脚は重宝します。背景を固定することで、純粋にポージングのみを変えて撮影が継続できます。
3. ピントをスムーズに合わせられる
ピント合わせに難儀する場面では三脚を使いましょう。合わせたい場所に、しっかりピントが合わせられます。
マクロ撮影
写真は接写しようとするほど被写界深度が浅くなり、ピント合わせも難しくなります。こんなときは三脚を使いMFで撮りましょう。ピントが合わせやすくなるだけでなく、最適なピント位置を探りながら撮影できます。
絞りを開いて撮る
接写でなくても、絞りを開いて撮るような場面では、ピントは被写体に合わせにくくなります。特に大口径レンズで開放付近のF値を利用する場合などは要注意。三脚とMFを組み合わせ、シビアなピント合わせに対応しましょう。
重い機材を支えられる
望遠系のレンズは重くてサイズも大きいため、三脚で支えながら撮ったほうが疲れません。特にこれは、長時間同じ被写体を狙い続けるような野鳥や風景などの撮影では必須です。三脚が強力に撮影をサポートしてくれます。
三脚のデメリットも知っておこう
三脚を使うメリットは多くありますが、一方で、三脚にはデメリットもあります。
まず、その都度セットして撮影に臨むため、機動力が失われます。1つ1つの撮影にも時間がかかりますし、どんなに軽くコンパクトな形状のものでもある程度かさばります。
まずは三脚を使う目的をはっきりさせて、携帯することをおすすめします。逆に言えば、三脚を携帯するときは、写したいテーマがはっきりしているときです。
多少重くても、それに見合う働きを三脚がするのは、三脚にきちんと役割を持たせているときだけです。何となく持っていくだけでは単なる宝の持ち腐れになってしまいます。
<技術評論社の本>