三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック
第6回

寄せては返す波を雲海のように撮る、NDフィルターの威力

写真を撮る、とは「被写体を記録する」と同時に、「光を写しとる」行為でもあります。カメラは写真を撮るための道具ですが、その原理上、単体では不可能か、あるいはきわめて難しい写真表現も存在します。

三脚、ストロボ、フィルターという機材は、それぞれカメラを固定する、光を発する、光の質を変えるという単機能を持ちながらも、それぞれをうまく使うことで、写真のクオリティを大きく上げられる奥の深い機材です。

三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック」は、これらの機材に関する基礎知識に加えて、機材の選び方、具体的な活用方法、プロカメラマンが実際に使っているテクニックまでを余すところなくカバーしている一冊です。

本記事では、明るい場所でシャッタースピードを落とす際に使うNDフィルターの活用例を紹介します。

三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック

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【カメラ】Canon EOS 5D Mark IV【レンズ】EF24-70mm F2.8L II USM【撮影モード】絞り優先AE【絞り】F22【シャッター速度】ND64:5秒【ISO感度】50【露出補正】-1 2/3【測光方法】評価測光【WB】太陽光【ピクチャースタイル】風景

ND64を使い超低速シャッターで撮影

西日が差し込み眩しい状態ですがND64を使用し超低速シャッターで撮影しています。露出計は普通に作動するので問題ありません。この時間ではAFも問題なく作動しますが、もう少し時間が経つと危うくなるので注意が必要です。三脚にはカメラザックをかけ、ブレないように心がけています。

POINT

  • 三脚は大きく安定した重いものを使うこと
  • 風が強いときは鞄を三脚にかける
  • AFが利くか確認する
  • フィルターに潮が付いていたらクリーニングする
  • リングはテープで固定する

使用したフィルター

ケンコー・トキナー PRO1D Lotus ND64

波の動きをブラすことで雲海のように写し出す

打ち寄せる波をスローシャッターでとらえると、波の動きがブレて雲海のような雰囲気を作り出すことができます。そのためには明るい状況でスローシャッターになる露出を導き出さなくてはいけません。そこで登場するのがNDフィルターです。1秒以上のシャッター速度になるように露出を調整してみましょう。時には10秒ほどのシャッター速度が必要になることもあるので、三脚をしっかり備えてチャレンジしてみましょう。

STEP1:安定した場所に三脚を立てる

磯は風が強く、足場が悪いので三脚の立て方が重要です。なるべく大きな三脚を用意し、風が強いときはカメラバックを重石にすると良いでしょう。また、石突きが岩の凹みに座るような場所に立てると、フレーミングがズレたり、三脚が倒れたりすることを防げます。

ザックのショルダーベルトに三脚の3本の脚を通して重石にしました。センターポールにフックがある場合は、そのフックを利用しましょう。

それぞれの石突きが、安定した凹みの位置を突いていることを確認しましょう。金属よりもゴム製の石突きの方が滑らないのでおすすめです。

STEP2:フレーミングを決めてリングを固定

NDフィルターを付けてAFが作動しないときは、装着前にピントや構図を決めてMFに切り換えます。フィルターを付けるときにズーム&ピントリングがずれないようにテープで留め、海は潮が飛んでくるのでレンズのクリーニングも忘れずに行いましょう。

フィルターを装着する前にAFでピントを合わせ、構図を決めます。その後MFに切り替え、テープで各リングを固定します。

レンズに潮が付着してしまいました。そのままで撮影するとピントが合っていてもぼけたような描写になってしまいます。

レンズをただ拭くのでは汚れが伸びるだけなので、クリーニング液を併用しましょう。一度拭いたら乾いたペーパーでクリーニング液を拭き取ります。

STEP3:イメージに合ったホワイトバランスを選ぶ

昼間の晴天時に撮影するとき、WBは[太陽光]が基本です。しかし、WBを変えることで雰囲気の異なる表現が狙えます。例えば、[日陰]は黄色味が強くなるので黄昏の雰囲気が引き出せ、[白熱電球]は一気に青い写真に変わり、疑似夜景が撮影できます。

WB:太陽光

[太陽光]は肉眼で見たものと近い色味になるので、その場のありのままの様子がとらえられます。

WB:日陰

[日陰]にすると、黄色味が強くなり、黄昏時に撮影したような印象にすることができます。

WB:白熱電球

[白熱電球]で撮影すると青味が強くなり、昼間撮影したにもかかわらず擬似夜景のような描写になります。

 


<技術評論社の本>

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