三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック
第5回

画像処理では再現できない「レンズフィルター」の効果を知ろう

写真を撮る、とは「被写体を記録する」と同時に、「光を写しとる」行為でもあります。カメラは写真を撮るための道具ですが、その原理上、単体では不可能か、あるいはきわめて難しい写真表現も存在します。

三脚、ストロボ、フィルターという機材は、それぞれカメラを固定する、光を発する、光の質を変えるという単機能を持ちながらも、それぞれをうまく使うことで、写真のクオリティを大きく上げられる奥の深い機材です。

三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック」は、これらの機材に関する基礎知識に加えて、機材の選び方、具体的な活用方法、プロカメラマンが実際に使っているテクニックまでを余すところなくカバーしている一冊です。

本記事では、主要なレンズフィルターの種類と効果について、作例をまじえて紹介します。

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表現の幅を広げる。多彩な効果を得る。

レンズを通過する光をコントロールすることによって、さまざまな効果を生み出す「フィルター」。全体の光量を減らしてシャッター速度を遅めたり、反射する光だけをカットして被写体そのものの色を引き出したり、フィルターの種類によって、表現の幅を広げる多彩な効果を得ることができます。また、撮影時、写真にダイレクトに現れる効果はないものの、レンズを保護するためのフィルターなどもあります。

その場の状況や目的によって付け換えて使用しましょう。効果が同じフィルターでも、使用しているレンズの口径や焦点距離によっては装着できない、もしくは、装着できても悪影響になってしまうものもあるので注意が必要です。メーカーも複数あり、それぞれが特徴を持った製品を販売しています。それらを見比べながら選択していくのも、フィルターワークの楽しみ方の1つです。

NDフィルター

カラーバランスを崩すことなく光を減らす効果があり、シャッター速度を遅くできるフィルターです。スローシャッターの表現をしたいときや、明るい状況で開放撮影をするときなどに有効です。また、上下半分だけに減光効果があるハーフNDフィルターもあり、空と地表物の露出差もコントロールできます。

ハクバ ワイドNDフィルター4

NDフィルターなし

明るいため、絞り込んでも水が流れて写る描写までシャッター速度を遅くできない状態です。

NDフィルターあり

ND32を使用し、シャッター速度を4段遅くしました。1/250秒が1/15秒になっています。

PLフィルター

偏光フィルターとも呼び、不要な光の反射を除去できるフィルターです。被写体のテカリを取り除いたり、水面の映り込みを消して水中の様子を写せたりします。そのほか青空を濃くする効果などもありますが、使用には太陽の位置が重要になり、場合によっては効果が出ないこともあります。

ハクバ XC-PRO エクストリーム サーキュラーPLフィルター

PLフィルターなし

水面が反射してしまい、肉眼でも水中が見られない状況です。

PLフィルターあり

PLフィルターを回転させることで水面の反射がなくなり、水中の様子が撮影できました。

クロスフィルター

点光源から光条を引き出せるフィルターで、光条の数で種類が分かれています。夜景や水滴などの撮影に有効ですが、点光源以外のところでの効果は見込めません。

ケンコー・トキナー R-クロススクリーン

クロスフィルターなし

街灯が並んでいるところに樹木もあり、とても絵になる情景です。ただ、少し物足りなさを感じてしまいます。

クロスフィルターあり

6本の光条が現れるクロスフィルターを使うことで、街灯の存在感が増し、非常に華やかなシーンになりました。

ソフトフィルター

紗がかかったような描写で、淡くにじんだ世界や幻想的な雰囲気が表現できます。効果の度合いが違うラインナップが揃い、イメージに合わせて選ぶことができます。

ケンコー・トキナー フォギー(A)N

ソフトフィルターなし

すっきりとした青空の中で満開の桜が非常に映えています。晴れているのでコントラストが強い印象です。

ソフトフィルターあり

ソフトフィルターを付けることによって、紗がかかり、やわらかい印象の作品になりました。

クローズアップフィルター

レンズに装着するだけで最短撮影距離を短くでき、望遠レンズでもマクロレンズのような撮影ができます。ただし、装着時は遠景撮影ができなくなるので注意が必要です。

ハクバ MCクローズアップレンズ No.1

クローズアップフィルターなし

フィルターを使わずに最短撮影距離で撮影しました。被写体にピントが合った距離はおよそ1.2mです。

クローズアップフィルターあり

クローズアップフィルターNo.3を使用して撮影しました。撮影距離が縮まって被写体との距離はおよそ1mです。

白黒用フィルター

モノクロ撮影専用のフィルター。黄・オレンジ・赤・緑のラインナップがあり、この順でコントラストがアップし、特定の被写体を引き立たせる効果があります。

ケンコー・トキナー Y2 プロフェッショナル

白黒用フィルターなし

上の作例は通常のカラーモードで撮影。下の作例はカメラをモノクロモードに設定し、保護フィルターを外して白黒用フィルターを装着。通常のモノクロモードよりもコントラストがあがり、被写体の起伏が明確になります。

白黒用フィルターあり

UVフィルター

遠景撮影をしたときに霞の原因になる紫外線をカットするフィルターです。また、保護フィルターとして使用することもできます。

ハクバ WPCワイドMC UVフィルター

保護フィルター

無色透明で、汚れ・キズ・衝撃からレンズを守るためのフィルターです。撥水加工が施されたものなど、さまざまな種類があります。

ケンコー・トキナー ZX プロテクター

 


<技術評論社の本>

三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック


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