営業写真の撮り方見本帖
第10回

羽織袴の男性をクールで堂々とした姿で撮る

いわゆる「写真館」では、人々が迎えた人生の節目や記念日の姿を写真に残すことを業としています。こうした写真を一般に「営業写真」と呼びますが、近年の営業写真は写真館の中で撮影するだけでなく、屋外で撮影するロケーション撮影も増えてきています。

営業写真の撮り方見本帖」では、和装撮影をメインに活躍しているフォトグラファーの北井一大さんによる撮影の手法から心構えを伝えています。結婚式などのイベントや日常のワンシーンを思い出の1枚として残す技術と、それより先に持っておくべき考え方を学ぶことができる1冊です。

本記事ではChapter2「ジャンル別で見る営業写真の実践テクニック見本帖」より、羽織袴の男性をモノクロで撮影する際の描写について解説します。

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営業写真の撮り方見本帖

羽織袴の男性をクールにモノクロで撮る

撮りはじめてわりとすぐのカット。男性の場合、いきなり砕けたカットを要求するのは難しいです。まずはクールに切り取ります。この撮影では、房をしっかり見せつつ、羽織の形があまり崩れないように意識します。袴と足袋を羽織で隠すと全体がきれいにまとまります。 マニュアル露出 F2 1/320秒 ISO1000 50mm

逆光を使って力強い表情を

同じ二十歳を撮るのでも、女性と男性では求める写真がだいぶ異なります。男性はクールでかっこよく堂々とした姿を撮ることが多いですし、お客様もそういう写真を残したいと考えていることがほとんど。“大人になる”決意を前面に押し出すようなイメージカットがメインになります。

ここに掲載した写真は、まさしくそんなイメージをモノクロで表現したもの。右の写真は印象的な円形の窓とそこから入る柔らかな自然光を活用した1枚です。カメラに対し横向きに座ってもらうことで、凛々しい表情が美しく描写できました。室内の縦横のラインをしっかり意識しているのも大事な要素。安定感のある画面構成が、堂々とした男性の佇まいを一層力強く印象的に見せてくれています。

Lighting Point
窓から射し込む光を最大限に活用するために、室内灯はすべて消灯しています。室内灯をつけるとどうしてもフラットな描写になります。とくに今回は男性の撮影なので、しっかり陰影をつけながら撮影に臨んでいます。

撮影のポイント

  1. 凛々しい横顔の表情を狙う
  2. 背筋を伸ばし、垂直水平を保つ
  3. 窓から入る光のみを使い陰影をつける
  4. 羽織で足袋と袴を隠してスッキリと見せる
  5. モノクロでシックに見せる

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