食べかけのたい焼きやカップに注がれるコーヒー、指につままれて変形した豆大福、溶けてつながったトーストのチーズ……。一見本物にしか見えない食べ物の木彫り作品をSNSやTVで見かけたことはありませんか。
木彫りアーティスト、キボリノコンノさんの作品集「キボリノコンノ作品集 キボリアル」では、朝食メニューやお菓子をモチーフとした作品の写真とその製作工程を紹介。パッと見で食べ物そのものの木彫り作品を楽しむとともに、食べ物の持つ柔らかさや瑞々しさを、木彫りという手段でどのようにして表現しているのかをも合わせて知ることができる一冊となっています。
本記事ではChapter3「KIBORINO BAKERY」より、「シフォンケーキ」をモチーフとした木彫り作品を紹介します。
シフォンケーキ
メイキング
Side
Back1
Back2
ふわふわの表現の究極版
生地はパンのふわふわ感をさらにブラッシュアップして制作した作品。パンでは平らな面に凸凹を彫って気泡を表現しましたが、このシフォンは、さらに手前に 1 工程加えていて、平な面をなだらかなウェーブに彫って、柔らかな形にしてから凸凹を彫り、さらに気泡を彫るという3段階にしてふわふわ感がより増しています。
泡はこのもったりした感じに工夫が必要で、まずは形や特徴をしっかり観察すること。塗装は、絵の具で白を塗った直後に、乾く前にベビーパウダーをまぶしてマット感を足しています。
普段は異なる素材を一体の木で彫ることが多いが、この作品はクリーム自体をつまんでつみ木のようにトッピングして楽しめるように分けて制作。