営業写真の撮り方見本帖
第9回

営業写真の実践テクニック〜意識して残したい二人の「後ろ姿」

いわゆる「写真館」では、人々が迎えた人生の節目や記念日の姿を写真に残すことを業としています。こうした写真を一般に「営業写真」と呼びますが、近年の営業写真は写真館の中で撮影するだけでなく、屋外で撮影するロケーション撮影も増えてきています。

営業写真の撮り方見本帖」では、和装撮影をメインに活躍しているフォトグラファーの北井一大さんによる撮影の手法から心構えを伝えています。結婚式などのイベントや日常のワンシーンを思い出の1枚として残す技術と、それより先に持っておくべき考え方を学ぶことができる1冊です。

本記事ではChapter2「ジャンル別で見る営業写真の実践テクニック見本帖」より、二人の後ろ姿を残す視点について解説します。

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営業写真の撮り方見本帖

ふたりの後ろ姿をドラマチックに残す

緩やかな坂道を利用し、上から見下ろすアングルで描写。背景に地上の風景を広く入れ込むことで、真っ直ぐに伸びて海に続いていく路地の存在感がドラマチックに強調されています。ふたりの表情を引き立てるために、顔の後ろに余計なものが入らないように注意しながら撮影しているのもポイントです。 マニュアル露出 F4 1/640秒 ISO100 135mm

その向こうの風景も大事

上の写真は、新郎新婦の後ろ姿を神奈川県葉山の海岸沿いの路地で撮影したもの。表情が見えるようにポーズをつけてもらうことで、幸福そうなふたりの様子が爽やかな海辺の景色と合わさり、ドラマチックに表現できました。

一方で、下の写真では新郎新婦の後ろ姿をその先の富士山にピントを合わせながら撮影しています。後日ふたりが写真を見返したときに、この日の情景がありありと思い出されるような、そんな象徴的な風景を記録しておきたくて撮影した1枚です。

新婦の後ろ姿と異なり、ふたりの後ろ姿というのは、こちらにその意識がないとなかなか撮る機会が生まれません。しかし、逆に日頃から撮ることが少ない分、きちんと残せると非常に喜ばれる1枚になります。バリエーションを増やせるという意味でも、時間が許せば、ぜひ撮影してみたい写真群です。

Lighting Point
夏場の午後の光。左に緑が入ったことで南国っぽさが出ています。高い位置にある太陽光を逆光下で利用しているため、本来空と海は明るくなるシチュエーション。このあたりは撮影後のRAW現像で露出と色みを調整し、見た目に近い状態に引き戻しています。

撮影のポイント

  1. 背中を見せつつふたりが寄り添う姿を撮る
  2. ハイアングルから大胆に路地を入れ込む
  3. 顔の後ろはシンプルに
  4. 緑の植物を入れて南国っぽさを演出
  5. 空と海の明るさと色合いはRAW現像で調整
“そうそうこの日は富士山がきれいに見えていたんだよね”。後日、そんなふうに振り返ってもらえたらなと撮影しました。新郎新婦にピントを合わせ、正面向きで撮る方法もありますが(実際そうした写真も撮っていますが)、あえて後ろ姿でピントもずらすことで、また違ったストーリーが生まれます。 マニュアル露出 F3.5 1/5000秒 ISO200 135mm

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