写真が上達するキーワード事典
第3回

「セレクト」は写真を見る目を養う「第2のシャッターチャンス」

多くの人がスマートフォンを手にするようになり、日常的に写真を撮るようになりました。近年のスマホはアプリの機能も充実しており、特に写真撮影の知識がなくても、ひとまず使っていれば使い方は覚えられるものです。

ただ、TLで見かけたインフルエンサーの写真のような、目を惹く写真を撮りたい!となると、用語の意味を知る必要が出てきます。

写真が上達するキーワード事典」では、写真撮影にまつわる100の用語を個別に解説。本格的に写真を学ぶにあたって頻出する用語について理解を深めることができます。

本記事では「セレクト」について解説します。

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写真が上達するキーワード事典

第2のシャッターチャンスとして写真を選ぶ

セレクトとは選択すること、選り抜くことです。デジタルカメラはついついたくさん撮ってしまいがちで、その数があまり多すぎるとセレクトがアバウトになりやすいです。そうなると次の撮影でも被写体選びなどの判断が散漫になり、シャッターチャンスを絞り込めずにまたたくさん撮ることになります。撮影とセレクトをするときの目は基本的に同じだと考えます。目的を持って写真を選び抜く方法を身に付けると、それが撮影時の観察力や判断力につながります。

セレクトは自分の写真とじっくり向き合える大切な時間です。撮影と同じくらい、あるいはそれ以上に写真のセレクトにも力を入れましょう。セレクトはよく「第2のシャッターチャンス」といわれますが、写真の反応や評価の決め手になるとても大事な作業です。どんなに優れた写真が撮れてもアバウトだと選び出すことができず結果につなげることができません。固定観念にとらわれないで、自分が感じたこと、伝えたいことが表現できている写真を積極的に選びましょう。そうすれば 撮影のときも、そのような素直な視点で被写体やシーンなどを捉えられるようになります。

選ぶ力を鍛えて撮る力を向上する

撮影後は時間を置かずに写真を見返しましょう。セレクトをすればしっかり写真を見るため効果的で、目的を持って選ぶのがポイントです。セレクトの基準が具体的になるほど、次の撮影で気をつけるべきことや改善すべきことが詳細に見えてきます。写真を選ぶ力を鍛えると、撮影での観察力、判断力、行動力も高まります。見る目が厳しくなると今の自分の写真に満足できず、必然的に撮る力が向上します。

日ごろ見る写真が選ぶときの目になる

選ぶ目に自信がないと、せっかくの良い写真もセレクトから外してしまいます。大切なのは選ぶ勇気です。そのためには写真を見極める優れた目を養うことが必要です。日ごろ見る写真が変われば、撮影やセレクトでの見る目も変わります。これまであまり興味のなかった被写体やシーンに目を向けたり、撮影のときのアプローチや表現の方法に変化が現れ、セレクトのときに良いと思える写真が違ってくるでしょう。


写真が上達するキーワード事典

著者プロフィール

岡嶋 和幸

岡嶋和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」「海のほとり」などがある。

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