映像作品などで目にする「画面」の雰囲気は、色合いや明るさなどいくつかの要素によって演出されます。普段何気なく観ている映像作品も、よくよく見てみると登場人物の心理状態や物語の展開によって色合いが調整されていることがわかるでしょう。こうした画面の調整を一般に「グレーディング」といいます。
RAW現像ソフトなどに搭載されている「カラーグレーディング」機能は、元々映像の分野で用いられてきたグレーディングの手法を写真表現に活かす目的で取り入れられたものです。使いこなせば、写真に映画のワンカットのような雰囲気を加えることが可能になります。
「Lightroom カラーグレーディング活用BOOK」では、写真家の藤田一咲氏が、写真のカラーグレーディングを行う上で押さえておくべき色の基礎からシーンごとの作例、簡単に試せるパラメータ設定集など、写真表現の幅を拡げる知識やテクニックを多数掲載しています。
本記事ではChapter3「自然や都市の風景の見え方を変える -ランドスケープ」より、日が差す夏の森林を秋色に染め上げてみせる調整方法を紹介します。
緑の夏景を黄葉の秋景に/劇的変化!オータム・カラーグレーディング
オレンジの類似色で秋色に
カラーグレーディングは、写真の色調を変化させることができます。しかし、万能ではありません。他の機能と併せて使うことで、調整の可能性はさらに広がります。ここでは夏のグリーンの木々の葉をオレンジに大きく変化させ秋の景色にします。
Before
撮影データ:絞り F3.6 シャッター速度 1/125秒 ISO 100 WB 晴 カメラ OLYMPUS OM-D E-M1 MARK III レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
After
- カラーグレーディング
- シャドウ 色相:35/彩度:90/輝度:+35
- 中間調 色相:20/彩度:85/輝度:+50
- ハイライト 色相:45/彩度:90/輝度:+15
- ブレンド 90 ●バランス +30
- 全体 色相:50/彩度:60/輝度:0
#18 FOREST AUTUMN
1. 基本補正を行う
POINT:コントラストの高い画像にする
[基本補正]パネルを開き、以下のように設定する
- 色表現 カラー
- プロファイル Adobe 標準
- WB 色温度:5,200 *適切な色温度に補正する
- コントラスト +10
- ハイライト -75
- シャドウ +70
- 白レベル +10
- 黒レベル +20
- 明瞭度 +15
- 自然な彩度 +15
- 彩度 -30
2. トーンカーブを調整する
POINT:白飛び、黒つぶれを補正する
[トーンカーブ]パネルを開く
●ポイントカーブ
下図のようにトーンカーブを調整する
A: 入力:0/出力:15
B: 入力:255/出力:245
3. 黄葉感を演出する
POINT:グリーンの彩度を落とす
[HSL/カラー]パネルを開く
●グリーン 色相:-100/彩度:-100/輝度:+10
4. グリーンをさらに調整
[キャリブレーション]パネルを開く
●グリーン 色相:+100
5. カラーグレーディングを行う
POINT:シャドウをメインカラーに類似色の配色
[カラーグレーディング]パネルを開く。それぞれのエリアの[詳細]パネルを選択し、以下のように設定する
*下図は、各エリアの色相の位置関係をわかりやすくするため[三方向]パネルになっている
- シャドウ 色相:35/彩度:90/輝度:+35
- 中間調 色相:20/彩度:85/輝度:+50
- ハイライト 色相:45/彩度:90/輝度:+15
- ブレンド 90 ●バランス +30
6. オレンジを強くする
[全体]パネルを開き、以下のように設定する
●全体 色相:50/彩度:60/輝度:0
7. 効果を加える
POINT:周囲を暗くして画像を引き締める
周囲のハイライトに色が乗らないようにする。[効果]パネルを開き、以下のように設定する
●切り抜き後の周辺光量補正
スタイル:ハイライト優先/適用量:- 60/中心点: 60/
丸み:+60/ぼかし:100/ハイライト:70
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