Lightroom カラーグレーディング活用BOOK
第3回

知っていると得をする配色パターンの法則

映像作品などで目にする「画面」の雰囲気は、色合いや明るさなどいくつかの要素によって演出されます。普段何気なく観ている映像作品も、よくよく見てみると登場人物の心理状態や物語の展開によって色合いが調整されていることがわかるでしょう。こうした画面の調整を一般に「グレーディング」といいます。

RAW現像ソフトなどに搭載されている「カラーグレーディング」機能は、元々映像の分野で用いられてきたグレーディングの手法を写真表現に活かす目的で取り入れられたものです。使いこなせば、写真に映画のワンカットのような雰囲気を加えることが可能になります。

Lightroom カラーグレーディング活用BOOK」では、写真家の藤田一咲氏が、写真のカラーグレーディングを行う上で押さえておくべき色の基礎からシーンごとの作例、簡単に試せるパラメータ設定集など、写真表現の幅を拡げる知識やテクニックを多数掲載しています。

本記事ではChapter1「カラーグレーディングの基本」より、色相と配色パターンの関係についての解説を抜粋して紹介します。

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色の配色・組み合わせ方

2. 角度の関係性を知る
カラーグレーディングとは色の組み合わせ、配色です。つまり、色相の角度の関係性を知ることが重要です。カラーグレーディングが難しい、と思われる理由もここにありそうです。配色には、こうでなければならないという決まり事はありませんが、色を調整するグレーディングは映画に生まれ、育てられて来ました。すでにセオリーは存在し、多くの映画に今日も適用されています。これは写真に色を適用する場合も、無視できるものではありません。つまり、感覚に頼らず法則的に配色パターンを選ぶことができます。

ここでは、伝統的な調和の取れた配色(カラースキーム)、色の組み合わせ方の代表的なパターンをいくつか見ていきます。色の組み合わせは、好みや感覚頼りだけではしっくりこないことや、毎回同じような傾向に陥る、またその解決法がなかなか見つからないことにもなります。配色についての伝統的な法則や知識、理解があるのと雰囲気だけで作業するのでは、効率だけではなく、写真を見る人の心に訴えかける表現力、作品力に大きな差が生まれます。

とはいえ、他の表現テクニック同様に、伝統的な法則に縛られる必要はありません。配色(色についても)の伝統的、あるいはモダンな学術的な知識は少しあるだけで、感覚や経験から得た知識や、その時々のインスピレーションに柔軟に加えることで、より効果的な幅広い表現が可能になる、知っておいて役に立つ知識です。

ここで配色のミニ知識を仕入れて、実作業で生かしましょう。解説は色相0度を例にしています。角度は厳密なものではありません。目安と考えてください。

代表的な配色パターン

類似色
色相の角度差:30~60度/メインの色の隣同士の色の配色

メインの色の角度に30~60度の間にある色の近いもの同士の組み合わせ。基本的な配色パターンで、目立ち度やインパクトは低いものの、調和の取れたまとまり感があり、落ち着いた印象、洗練された印象の写真に仕上がる扱いやすさが特徴です。彩度や輝度でコントラストをつけ、高揚感のない単調なイメージになるのを避けるようにしましょう。

補色
色相の角度差:180度/メインカラーと正反対にある色の組み合わせ

ハリウッド映画の代表的なカラーグレーディングであるティール&オレンジはこの配色パターン。コントラストが強く、ダイナミックで目を引く効果は非常に高くなります。しかし、写真(静止画)は映画とは異なるので、実際には使いにくい面もあるので、使用には要注意。

分割補色
色相の角度差:150度/メインの色と補色の両隣にある色の配色

メインの色と、メインの色との角度差が150度の2色の組み合わせなります。メインの色相の補色(角度差180)の±30度の2つの色と覚えると便利です。調和とメリハリを兼ね備え、補色ほどコントラストが強くならないので、とても使いやすい組み合わせになります。

トライアド
色相の角度差:120度/正三角形の位置にくる3つの色の配色

メインの色と、メインの色の角度に120を加えた角度の色、さらに120を加えた角度の色の組み合わせ。どの2色を組み合わせても、カラーホイールの120度の位置の組み合わせになるので、安定した色の配色になります。バランスよく色を主張させたい時などに効果的。分割補色と同じくらい使いやすい組み合わせ。

モノクロマティック
色相の角度差:0/同じ色相の組み合わせ

モノクロマティックとは単色のこと。メインカラーに、彩度と輝度の違いで配色を作ります。単色なのと、類似色よりもコントラストがはっきりするため、色の印象を強く残すことができ、まとまり感を出すことができます。

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