NY在住のスタイリスト岸 雅代が自費出版をする大判フォトマガジン
世界中で長引くコロナ禍。様々な行動が制限され、クリエイターたちの活動が今までのようにいかないのは、どの国も同じ。そしてそんな状況だからこそ、これまでの軌跡を見つめ直し、新しいことに挑戦するクリエイターがいる。ここに紹介するのは、NYで活躍するスタイリスト岸 雅代が企画・編集 /出版をしたフォトマガジン『PERMANENT PAPER』。
「デジタルデバイスのおかげで、私たちは写真を含めた膨大なコンテンツにアクセスすることができます。しかし一方で1枚の写真に対し、深く考える時間さえなく、短い記憶喪失の繰り返しです。私自身がイメージの作り手としてこの状況に疑問を感じていた時、世界が突然停止しました。皮肉なことではありますが、一息ついて自宅に眠っていた写真集やプリント雑誌を見る時間ができました。見覚えのある過去のフォトストーリーのページをめくりながら、自分がこの古風で純粋な感触を欲していたと気づき、このマガジンを自費出版することを決めました」(岸 雅代)。
11×16インチ(W27.94×H40.64cm)の大判サイズ。アーサー・エルゴートを筆頭に20名近くの写真家、アーティストの作品が並ぶ。
「(NYで)ロックダウンが始まった2020年5月ごろから、過去にご一緒させていただいた方に連絡をして、企画を伝えました。当初は撮影ができる状況ではなかったので、半数の方にはコンセプトを伝えた上で、一緒にアーカイブ作品をセレクトするという形でしたが、規制が緩くなるのを待ち、カバーストーリーは巨匠アーサー・エルゴートで撮影を成功することができました」(同)。
その際にアーサーのエージェントからは「こんな大変な時に紙媒体を自費出版するのは勇気がある」と言われたとか。しかし大判のページを繰りフォトストーリーを追う「快楽」は小さなスマホ画面にはないものだ。
限定200部の第1号は、NYの写真専門書店などで販売され、Dashwood Books(現在は品切れ中)など、日本から通販可能なストアもある。年2回の発行予定。現在、第2号を編集中とのこと。