「押せばそれなりに写る」のがデジタルカメラの良いところですが、自分なりの表現を突き詰めたいと考えたときには「それなり以上」の使いこなしが求められるもの。高性能化が進み「可能なこと」が増えた現行世代のデジタルカメラにおいては、把握すべき事柄も増え続けています。
プロカメラマン・河野鉄平さんによる「デジタル一眼カメラ 知っておきたい撮影の基礎知識200」では、デジタルカメラの仕組みや特性、各種機能の使いどころ、構図の作り方、光の捉え方などなど、カメラ、ひいては「写真」を理解する上で必要となる基礎的な知識を掲載。個々の項目は細かく区切られており、確認したい知識をすぐに参照できる工夫がなされています。
本記事では、PART2「応用的な撮影で欠かすことのできない実践的項目50」より、日の丸/斜め構図を作る際に留意すべきポイントを解説します。
画面内を3分割して被写体を配置する3分割構図
ポートレートから自然風景までさまざまな被写体に対応する
構図にはシーンに応じて参考になる構図パターンというものがあります。その構図パターンの中で、もっとも利用頻度が高く、利便性の高いものが3分割構図です。画面内を縦横で3分割してできるラインと交点を参考に被写体を配置していくのが特徴で、空間を活かしながら主題をバランスよく画面内に入れ込みたい場面で有効です。ポートレートやテーブルフォト、花々の撮影などで効果を発揮します。
また、3分割構図に似たものに、2分割構図があります。画面内を縦横で2分割してできるラインを参考に画づくりする構図パターンで、ラインのはっきりした場面で利用します。落ち着いた構図を作りやすいのが魅力です。
3分割構図
2分割構図
主題をインパクトいっぱいに表現できる日の丸構図
もっとも簡単に実践できるけど奥の深い構図パターン
日の丸構図は画面中心に主題を配置し、その存在感を全面に押し出して撮影を行う構図パターンです。ポイントはシンプルな背景を選ぶこと。背景がうるさい場合はボカすのも有効です。真ん中の被写体にしっかり注目させることが、この構図パターンには欠かせません。また、中心に配置する被写体の大きさもこだわりましょう。大きく入れ込みすぎると、写真が淡白に見えます。
日の丸構図はシンプルゆえに、何も考えずに撮った構図の悪例として扱われがち。しかし、意図して使っているのであれば、避ける理由はありません。しっかり特徴を踏まえた上で、ここぞという時に利用できると最大のインパクトを残せます。
躍動感や広がりを演出できる斜め構図
動感を気軽に演出できる撮影技法
斜め構図は特徴的なラインをわざと傾けることで、躍動感を演出する構図法です。斜線構図、対角線構図などともいいます。とくにスポーツや乗り物といった動く被写体に対しては、少し画面を傾け、斜め構図をつくるだけで気軽に動感が演出できます。また、建物や樹木などでは斜め構図を利用することで、より広がりのあるイメージで、躍動感や開放感が表現できます。
しかし、いずれも大事なことははっきりとしたラインを画面内に入れ込み、それを傾けることです。空だけのシーンで画面を傾けても、まったく効果はありません。
他にも斜め構図の類型に、対角線を強調する対角線構図も有効な構図パターンです。道路などを広角レンズで撮る際などに重宝します。奥行きを演出できるのが特徴です。