ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第44回のテーマは「ボトル」です。
「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。
撮影のポイント
1. ボトルのどこに注目し、どう演出に活かすかなど、3つの視点を意識しよう。
2. 光の当たる方向や見る角度を観察して魅力を引き出そう。
街角で、黄色いケースに入れられた透明のボトルを見つけました。上から見ると、丸い飲み口が規則正しくならんでいる様子が模様のようで面白いなと思いました。
ボトル撮影の3つの楽しみ方
ボトルの撮影には3つの楽しみ方があるように思います。
1つめは「ガラスの透明感」に注目する方法。ボトルはなんといっても透明なガラスが魅力的です。
2つめは「形を楽しむ」方法。飲み口は丸く、本体はスマートだったり太めだったりと様々。
3つめは「ストーリー性を演出する小道具として使う」方法。ボトルは、空間にぽつんと置いてあるだけで、写真に物語性が付加されます。
ボトルを見つけたら、3つのうちどの視点から楽しめるか考えてみましょう。
光の方向や見る角度を探る
ボトルを形成するガラスは、光の当たり具合によってはキラキラと光ってとてもきれいです。逆光で、光がガラスを透かすような状況も清涼感があってよいですし、カラフルなライトが当たってガラスが色づいた時も魅力的です。光の当たる方向や色に気をつけながら、ガラスを観察してみましょう。また、ボトルは形も独特なものが多いです。丸い飲み口がずらりと並んでいるようなシーンも、模様のようで面白いです。いろいろな角度から形状を眺めてみましょう。
海辺で、年季の入ったボトルを発見しました。一体いつ、どこから流れてきたのだろう…と、思わずボトルのこれまでの物語を想像してしまいます。茶色いボトルは、レトロで、なんとなく哀愁が漂いますね。
飲み屋さんの入り口に置かれた酒瓶が、ライトに照らされて光っているのがきれいだなと思い、シャッターを押しました。緑や茶色など、色付きのガラスの方が、清涼感には欠けるものの、ライトがはっきりと映り込むのでぴかぴか光る様子がよくわかります。
「水に浸かったラムネの瓶」は鉄板ですね。うす青色のガラスを眺めていると、なんとも涼しげな気分になります。