ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第43回のテーマは「列車」です。
「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。
撮影のポイント
1. 独特な窓の形・配列だけに注目してみても面白い。
2. 外観を撮る場合は、景色の中でバランスよく配置されているかをチェック。
車内で、窓の外を覗く子どもがかわいらしかったので、思わずシャッターを切りました。こどもの考えていることを私も想像したかったので、顔や表情などはあえて写しませんでした。ピンク色の長靴から、女の子であることが伺えます。そういえば私も小さい頃、列車の窓から外を眺めるのが好きでした。
とにかく他の乗客に迷惑をかけない
今回はあくまで私の考える列車写真のお話です。いわゆる撮り鉄の方が撮る「鉄道写真」とは違ったものだと思っていただければ幸いです。列車は、車内を撮る方法と、外から車両を撮る方法の2通りがあります。外から車両を撮る方法は下の段落でご説明しますが、とにかく気をつけなければならないのは、車内を撮影する時です。列車には他のお客様もたくさん乗車されています。ご迷惑にならないよう、くれぐれも気をつけましょう。
規則正しい模様と紐状の物体!?
私は、列車を「規則正しく並ぶ模様(窓)のついた紐状(車体)のもの」だと思っています。外から車両を撮る場合は「模様(窓)」と「紐状の形(車体)」に切り分けて考えると面白い絵が撮れます。列車は窓の形が独特であることが多いので、そこだけに注目しても面白いです。また、景色の中を走り抜ける列車を広い画角で切り取る場合は、紐状のものが景色の中でバランスよく配置されるアングルから切り取るとよいのではないかと思います。
日が沈む直前、強い西陽に照らされた列車が、暗くなりつつある風景のなか、メタリックに光って見えました。目の前の川に車両が映り、まるで上下に列車が走っているようで、そこが面白いと思いました。
満開の桜を眺めていた時、ちょうど画角の右側が空いていて「ここに何かあればバランスがよいのになあ」と思いました。その時、いいなと思う場所に列車が通ったので、慌ててシャッターを切りました。
列車の窓の向こう側に、運転手さんが見えたのが面白いと思い撮影しました。列車は窓の形が独特で好きです。