「押せばそれなりに写る」のがデジタルカメラの良いところですが、自分なりの表現を突き詰めたいと考えたときには「それなり以上」の使いこなしが求められるもの。高性能化が進み「可能なこと」が増えた現行世代のデジタルカメラにおいては、把握すべき事柄も増え続けています。
プロカメラマン・河野鉄平さんによる「デジタル一眼カメラ 知っておきたい撮影の基礎知識200」では、デジタルカメラの仕組みや特性、各種機能の使いどころ、構図の作り方、光の捉え方などなど、カメラ、ひいては「写真」を理解する上で必要となる基礎的な知識を掲載。個々の項目は細かく区切られており、確認したい知識をすぐに参照できる工夫がなされています。
本記事では、PART2「応用的な撮影で欠かすことのできない実践的項目50」より、縦/横構図を作る際に留意すべきポイントを解説します。
自然な雰囲気で撮影できる横構図
主題の明確な場面では画面周辺にも目を向けよう
肉眼で見ている風景は横位置です。そのため、横構図は自然な見え方で撮影できるのが特徴です。要素を広く入れ込めるのも魅力で、自然風景などは横位置でとらえることで、壮大さを強調できます。一方、広く写せる分、余計なものが入りやすいのも横構図の特徴。とくに主題が明確な場合は、画面周辺に目が行き届かなくなりがち。画面全体を見回しながら撮影に臨む姿勢が大事です。
また、横構図は自然な見え方になるがゆえに、感動して撮ったつもりでも新鮮さの乏しい、単調な仕上がりになることが。横構図は被写体を多く取り込めるため、工夫しだいでさまざまな表現が試せます。横構図だからこそ、構図へのこだわりをしっかり持つように意識しましょう。
主題を力強く見せられる縦構図
主題の存在感をより引き立たせる構図
縦構図は肉眼とは違った切り取り方で被写体が撮影できます。そのため、新鮮な視点が獲得しやすい特徴を持っています。一番の魅力は左右を切り取り、被写体を限定的に写せることです。主題を目立たせ、力強く描写できます。とくにポートレートや高層ビルなどの縦長の被写体ほどこの傾向は強いです。総じて、構図の組み立ては、要素を限定できる分、横構図よりも簡単です。
ただし、縦構図は画にしやすい分、あまり安易に使うとワンパターンになりがち、横構図とバランスを取りながら、効果的に利用したいです。
なお、横構図と縦構図のどちらで撮るか迷う場合は両方を押さえ、撮影後にいいほうを選びましょう。