「押せばそれなりに写る」のがデジタルカメラの良いところですが、自分なりの表現を突き詰めたいと考えたときには「それなり以上」の使いこなしが求められるもの。高性能化が進み「可能なこと」が増えた現行世代のデジタルカメラにおいては、把握すべき事柄も増え続けています。
プロカメラマン・河野鉄平さんによる「デジタル一眼カメラ 知っておきたい撮影の基礎知識200」では、デジタルカメラの仕組みや特性、各種機能の使いどころ、構図の作り方、光の捉え方などなど、カメラ、ひいては「写真」を理解する上で必要となる基礎的な知識を掲載。個々の項目は細かく区切られており、確認したい知識をすぐに参照できる工夫がなされています。
本記事では、PART1「写真撮影で必ず理解しておきたい基本項目65」より、デジタルカメラの仕組みに関する基礎知識についての記述を掲載します。
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デジタル一眼はレンズが交換できるデジタルカメラのこと
レンズ選びもデジタル一眼で写真を撮る楽しさのひとつ
デジタル一眼とは後述するデジタル一眼レフカメラをミラーレス一眼カメラの総称です。一眼とは、撮影するレンズとファインダー(またはライブビュー)がひとつの眼のようにつながっていることを意味します。
デジタル一眼はさまざまなカメラ機能を利用しつつ高画質に撮影できるのが魅力ですが、もっとも大きな特徴はレンズ交換に対応することです。例えば、コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)にも多機能で高画質に撮影できるモデルはありますが、デジタル一眼のようにはレンズ交換できません。カメラはシーンに応じてレンズを交換することで、よりバリエーション豊かに撮影を楽しむことが可能になります。
デジタル一眼「ニコン Z 50」
小型軽量の中級機。レンズ交換できるミラーレス一眼。デジタル一眼はエントリーモデルからプロモデルまで幅広くさまざまな機種があります。
コンパクトデジタルカメラ「ソニー DSC-RX1R」
このような高級コンデジはデジタル一眼とフォルムが似ていて、見かけはデジタル一眼のようです。機能に優れ、高画質に撮れます。
デジタル一眼「キヤノンEOS M6 Mark II」
キヤノン EOS M6 Mark IIと対応する交換レンズをピックアップしました。カメラボディのレンズマウントによって、利用できるレンズのバリエーションが変化します。デジタル一眼を購入する際は、どんなレンズが利用可能かにも注目したいところです。
デジタル一眼の中でミラーを搭載しているのがデジタル一眼レフ
かつて主流だったカメラシステム
デジタル一眼レフはカメラ内にミラーを搭載しているのが特徴です。ミラーはレンズから入る像をファインダーで見られるように反射するためのもの。肉眼で見ているまま、自然な見え方でファインダーから像を確認できるのが魅力です。デジタル一眼レフにおけるこのファインダーを光学ファインダーといい、ミラーに像を反射させる行為をレフレックスといいます。デジタル一眼レフの「レフ」はこのレフレックスの略語になります。
デジタル一眼レフは長くデジタルカメラの看板として親しまれてきましたが、カメラ内にミラーを搭載する関係で重量やサイズが大きくなる携行が否めず、最近ではラインナップも減少気味です。これに代わって大きく台頭しているのがミラーレス一眼です。
カメラ内ミラー
赤く囲った部分がミラーです。ミラーはイメージセンサー(撮像素子)の手前に配置されます。
デジタル一眼の中でミラーを搭載していないのがミラーレス一眼
光学ファインダーを搭載しないのも大きな特徴
ミラーレス一眼はその名の通りカメラ内のミラーを省いたデジタル一眼です。最大の特徴はミラーがないことで小型軽量化を実現していることです。デジタル一眼レフのような光学ファインダーは搭載されていませんが、中級機やプロモデルには、電子ビューファインダー(EVF)が付きます。これは液晶モニターに表示される映像を、そのまま反映できる電子式のファインダーです。デジタル一眼レフの光学ファインダーとは構造も見え方も異なります。エントリーモデルには、液晶モニターのみに表示してライブビューに対応したEVFのない機種もあります。
デジタル一眼レフとミラーレス一眼の構造
最大の違いはミラーの有無。デジタル一眼レフはミラーを搭載する分、厚みがあります。ミラーレス一眼は液晶モニターとビューファインダーの両方に同じ映像を表示します。