飛行機写真の教科書
第3回

最低限知っておきたい「飛行場」の基本的な施設と用語

旅客輸送、物流、防災、救難、軍事など、様々な領域で活躍する航空機。「もしも空を飛べたら、何がしたいか」という人々の願いを具現化し、用途に特化した機体の機能美は、写真の被写体としてもきわめて魅力的です。

飛行機写真の教科書」では、「飛行機写真」の定義から航空機の種類や運用に関する基礎知識、飛行機撮影に適した機材、撮影場所の選定をはじめ、季節や状況ごとの表現テクニックまで幅広くカバー。

一定の専門的な知識と高い撮影技術を必要とし、難易度が高めの撮影ジャンルではありますが、マスターすれば写真表現に大きく幅を持たせられることは間違いないでしょう。

本記事では、Chapter1「飛行機写真の基本」より、ロケ地の一つとなる「飛行場」についての解説を紹介します。

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飛行機写真の教科書

飛行場を知る

飛行場には、安全かつ効率的に航空機が運用できるよう、さまざまな施設が備わっている。主なものに滑走路(ランウェイ)、誘導路(タキシーウェイ)、駐機場(ランプ/エプロン)、管制塔(コントロールタワー)などがある。滑走路の両端には番号が書かれているが、これは方位を表している。真北が360 °、真東が090°、真南が180°、真西が270°で表すが、地図上の方位である真方位とは異なり、方位磁針が示す方位である磁方位を表している。

磁方位は場所や時期により変化し、現在の東京における偏角は西偏7 °である。飛行場運用の基礎知識として、飛行機は風上に向かって離着陸するため、ランウェイ18-36の滑走路を持つ飛行場においては、北風のときはランウェイ36(スリーシックス)で北向きに離着陸し、南風のときはランウェイ18(ワンエイト)で南向きに離着陸する。滑走路方向が分かれば、時間帯ごとの光線状態がイメージできるので、撮影ポジションを決定する際の目安となるだろう。

ボーイング787-8/日本航空 アメリカ ロサンゼルス空港:12月 ランウェイ24Lで離陸するB787。滑走路番号は磁方位240°を向いていることを表す。 Nikon Z7 AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR F6.7 1/1500秒 ISO100 AWB

飛行場のレイアウト

吹き流し(ウインドソック)
飛行機は風上に向かって離着陸する。

管制塔(コントロールタワー)
管制塔が離着陸の許可を出す。


飛行機写真の教科書

著者プロフィール

中野耕志

1972年生まれ。東京農業大学農学部林学科卒業。主に野鳥や飛行
機の撮影を得意とし、雑誌やカレンダー、広告などに作品を発表する。
現在、「”Birdscape”~鳥のいる風景」と、「”Jetscape”~飛行機の
飛ぶ風景」を2大テーマに国内外を飛び回る。
http://strix-photography.com/
https://twitter.com/Kantei_Saigai

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