光の魔術師イルコのオフカメラ・ストロボライティング
第4回

オフカメラ・ストロボライティングに必要なアイテム「ブラケット」と「外付けバッテリー」のススメ

人物写真を撮る際に重要なテクニックは数多ありますが、その中でも特に重要度の高い技術は「光を読む力」でしょう。頭の中にあるイメージ通りに作品を撮影するにあたり、光を読む力を鍛えることは、機材選び以上に重要な要素です。

撮影時の光源として使える最も身近な光源機材は内蔵もしくはクリップオンストロボですが、作品づくりを念頭に撮影へ臨むならば、単に直射、バウンスするばかりでなく、ときにはストロボ自体を使わない、あるいは、そこまではせずとも光源の扱いを一工夫する必要も出てくることでしょう。

光の魔術師イルコのオフカメラ・ストロボライティング」では、カメラから離れた位置にストロボを配置するライティングテクニックを中心に、オフカメラライティングの基礎知識から多灯ライティング、ストロボ撮影時の構図の考え方など、「光を読む」技術を多数紹介しています。

本記事では、Chapter3「オフカメラ・ストロボライティングに必要な8つのアイテム」より、「スタンド&ブラケット」「バッテリー&パワーパック」の解説部分を紹介します。

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光の魔術師イルコのオフカメラ・ストロボライティング

スタンド&ブラケット:光の位置を調整する

ブラケットはネジ穴のあるものを選ぶ
ストロボのスタンドは、ストロボの位置を固定するためのものなので、カメラの三脚ほど堅牢である必要はありません。ただ、風の強い場所などで倒れないように、安定感とある程度の頑丈さは必要です。また、ストロボ撮影は機材が多いので、持ち運べる軽さであることも大切です。

ブラケットは、ホットシューで装着するタイプ、ストロボを横にしてボディを固定するタイプ、クリップ式、ネジ穴式などいろいろなタイプがあります。ホットシューで装着するタイプは、風が強いときに装着すると負担がかかり、壊れそうなのであまりオススメしません。最近では、三脚のネジ穴が付いているストロボも出てきました。Godoxやニッシンなど、ハイスペック機にはホットシューがないというタイプも。これからの時代、ホットシューはなくしてもいいんじゃないかな!

ニッシンのスタンドとS型ブラケットが使いやすい
スタンドはどのくらいの長さが必要かというと、2mくらいまで伸びれば十分です。最近気に入っているのは、ニッシンデジタル スーパーライトスタンド LS-50C。カーボン式でめっちゃ軽いです!

ブラケットは、 S型ブラケットを使っています。ストロボを頭から固定するタイプなので、ホットシューを傷つけることなく、どんなタイプのストロボも装着できます。また、前方にBowensマウントがあり、いろいろなアクセサリーを装着できます。

ストロボの頭を入れて固定する形なので、Cactus RF60などホットシュー式のクリップオンストロボも、ネジ穴のみのニッシンデジタル MG10も装着することができます。

Q. ブラケットとスタンドは、どんな組み合わせでもつきますか?
A. ネジにはオス、メスがあるので、合わないときはネジ変換アダプターで調整します。

スタンドにさまざまなパーツを装着する場合、ネジが必ずしも合うとは限りません。ネジにはオスとメスがあって、接合部がオス同士、メス同士だと装着できないからです。また、オス同士でも規格が合わないと装着できません。そんなときは、ネジ変換アダプターがあればくっつきます。オスメス変換用、オス同士の規格変換用など、たくさん種類があるので確認してから購入しましょう。現場に行ってから「つかない!」と慌てないように、事前に練習して確認しておくことが大事!

メス系ライトスタンドなどをオスにするときに使います。
ニッシンデジタル i60Aにアダプターを差し込んだところ。

バッテリー&パワーパック:ー撮影をスムーズにする

専用電池と単三電池を使い分けよう
ストロボのバッテリーの種類は、リチウムイオン電池や単三電池などがあり、ストロボによって異なります。リチウムイオン電池のメリットは、外付け電源パックがなくてもチャージが速いことですが、専用バッテリーでしか動かないのがデメリットです。充電がなくなったときのために予備が必要です。

単三電池で動くストロボは、強いパワーが必要な環境で外付け電源パックなしの場合、チャージはリチウム電池よりも少し時間がかかるのがデメリットですが、万が一電池がなくなって予備がないときでも、単三電池ならどこでも買えるのがメリットです。

個人的にはチャージが速いのでリチウム電池を使いたいですが、充電ができる環境ではないときは、コンビニでも買える単三電池のほうが役に立ちます。専用電池も単三電池も、それぞれメリット、デメリットがあるので、使用するストロボや用途で使い分けるといいと思います。夜景ポートレートなどでコンパクトなi60Aを使うなら、単三電池で十分!

26650型リチウムイオン充電池は軽くて大容量
ストロボの電池は繰り返し使えるニッケル水素充電池がオススメですが、MG10はリチウムイオン充電池を使っています。その理由は、市販の26650型リチウムイオン充電池が使えるバッテリーカートリッジが標準装備されているからです。

26650型リチウムイオン充電池は、大容量かつ充電時間も短く、軽くてコンパクト! 26650型は直径26mm、長さが約65mmの、大きな懐中電灯に入っているタイプです。単三電池のカートリッジもありますが、電池8本が必要なので、取り扱いがちょっと面倒くさいです。

Q. ストロボのバッテリーQ がすぐになくなってしまうけど、何かいい方法は?
A. 外付けのバッテリーパックをつけましょう。

日中シンクロをするときはバッテリーがすぐになくなってしまうので、外付けバッテリーパックをつけます。

私がよく使ってる外付けバッテリーパックは、ニッシンPS8パワーパックです。充電式の専用ニッケル水素電池で動き、とてもパワーがあり、充電がすごく速いです。フル発光でも1秒以内でチャージできます。ニッシンデジタルのストロボだけでなく、純正ストロボでも問題なく使えます。

各カメラメーカーもそれぞれ外付けバッテリーパックを出していますが、ほとんどのバッテリーパックは単三電池8本で動くものが多いです。PS8はニッケル水素電池でカートリッジ式になってるので、電池が増える煩わしさがありません。

パワーのないストロボを使っていたときは、複数くっつけて使ったりしました!

光の魔術師イルコのオフカメラ・ストロボライティング

著者プロフィール

ILKO ALLEXANDROFF (イルコ・アレクサンダロフ)

ブルガリア出身、神戸在住のフォトグラファー。
ファッション、ポートレート、ウェディングなどを中心に活動し、
ストロボを使った独自の撮影スタイルがブレイク。
YouTubeに撮影技術を紹介する動画を多く投稿し、
Facebook、Instagram等のSNSでも多くのファンを獲得する。

書籍(玄光社):
光の魔術師イルコのポートレート撮影スペシャルテクニック

光の魔術師イルコのオフカメラ・ストロボライティング

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