「花別マクロ撮影テクニックガイド」は、四季折々の花を主として、小さな自然をモチーフにしたマクロ撮影の様々な表現テクニックを解説し、写真表現のおもしろさやモノ造りの楽しさをアドバイスする本です。
著者の江口愼一さんは、撮影テクニックを解説しながらも「一番大切なポイントは感じる心であり、ときめき。まずは感じることが大切。花のどこに魅力を覚えてどんな絵にしたいのか、その意図を明確にすることが先決で、さらに光を見極め、自然を愛で楽しむことが基本」と語っています。
本記事では、3章秋・冬の「光の余韻」から、雪・氷の撮り方をご紹介します。
光がもたらす演出効果やモチーフのソリッドな
ディテール描写を絡めて凛とした空気感を表現
氷・雪・霜という冬の景物は実に美しくフォトジェニックなモチーフである。ただ、これらを撮る場合、表現を大きく左右するのは光。それぞれのモチーフを前にして、光があるとないとではその表情が大きく変わるし、光の強弱や方向の違いによっても随分と印象が異なる。光の輝きや明暗のコントラスト、そして光の色彩効果などに注目し、さまざまな光が描く演出を画面に活かし、モチーフの表情を際立たせることが大切だ。
Case-1 雪原の上に描かれた風紋が斜光線によって浮き彫りにされた表情を捉えた
雪をモチーフにした表現では、何らかの光の演出効果がないと絵にするのは難しい。ここでは斜光線によって立体感が強調された雪原の風紋をクローズアップしている。
Case-2 夕方の雪原に輝く煌きを逆光から捉えてみた
雪の上で腹這いになり、逆光に煌めく雪の表情をマクロレンズで切り取ってみた表現。
Case-3 渓流の滑らかな流れとソリッドな氷の表情を対比で絡めた
渓流の縁で、飛沫が凍りついた氷と流れとをモチーフにした。滑らかな流れの表情とソリッドな氷の表情との対比を図った。
【Best Shot Recipe】
雪の煌めきに注目し光の演出効果をモチーフにした表現
ピント
雪の繊細なディテールに注目し、そんな細部にピントを合わせている。
ボケ
バックの雪の輝きを光の円形ボケとして活かし、虹色のボケ味にも配慮しつつ構成を図った。
視点
逆光から狙い、光のボケ味が得られるアングルや角度を吟味し構成を図った。
色調
ごくナチュラルな色調描写と雪の白の抜けにウエイトを置いた表現を求めた。
露出
絞り値は開放に設定しえ背景の正円の円形ボケを求めている。