ニッポンぶらりカメラ旅
第6回

ぶらりカメラ旅はシャッター優先で撮る

写真にハマっているアマチュアにとっては、「テーマはどんなものにすればよいか?」「撮影方法はどうすればよいか?」「上手に写真を撮るためには?」など、本気になればなるほど、堅く考えてしまうものです。そんな人達に写真家の丹野清志氏は、著書「ニッポンぶらりカメラ旅」の中で、肩ひじはらずにカメラを持ってふらっと旅をして、思いつくままに写真を撮ることを勧めています。「町から町へ、なりゆきまかせで移動していくと、いろいろな出会いがあり、出会いの一つ一つに心がふるえるのです。」と言います。
そんな心をふるわせる被写体に出会える旅はどうしたらできるのでしょうか?


本記事では、第2章「旅の写真を楽しむためのヒント」からのアドバイスをご紹介します。

ニッポンぶらりカメラ旅

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こういう店があるとつい立ち寄って話をしつつ1ショット。[青森県つがる市]

 

絞り優先はボケ味の選択

傑作をねらう露出モードは、絞り優先が常識とされてきました。絞り値で変化する被写界深度による描写の変化を作画にうまく利用せよ、ということです。写真作法として絞り優先で撮るケースは、美しいボケ味が「作画」のポイントになるポートレートや静物や花などの撮影、そして絞り込んで撮るのが基本の風景写真。特に意識するのは絞り開放寄りが鉄則のボケ描写でしょう。よいボケ味を求めるなら、絞り値の選択だけでなく、撮像素子の小さいAPS-Cやマイクロフォーサーズタイプは35ミリ判フルサイズカメラより被写界深度が深くなるので、一眼レフと大口径レンズの組み合わせがベストとなります。

ぶらりカメラ旅写真の対象はあらゆる被写体ですから、風景や花やポートレートも撮ります。が、旅で撮る風景写真はスナップする感覚で見る「風景」ですから、絞り開放寄りで撮る、スローシャッターで撮るといった作画技法にこだわる撮影は少なく、カメラもフルサイズと大口径レンズ必携でなくてもいいのです。

私流ぶらりカメラ旅でのボケ味は、食べ物で言えば高級料理ではなく駅前食堂の定食ぐらいの感じが得られればいいのではないかと考えてます。ちなみに、ぶらりカメラ旅での標準〜広角レンズでの最適絞りは、F5.6〜8でしょうか。

絞りF2の開放は周辺のボケ具合がやわらかく造花も美しい。[千葉県佐原市]

 

人の動きは、突然という思いがけない写り込みが面白い。[長野県松本市]

 

もやもや画像の原因は手ぶれ

撮影後に液晶モニターで画像を確認すると思いますが、よほど露出オーバー、アンダーの画像でなければ鮮やかな色彩画像です。ところがパソコンで拡大して見るとシャキッとしない画像だ、ということがありませんか。

スッキリしない画像の原因はピントがあまいのではなく、カメラぶれ、手ぶれです。デジタルカメラではこの手ぶれが多いことから、風景写真では三脚必携とされていて、重量のある交換レンズには、手ぶれ補正装置がついています。ぶらりカメラ旅は、基本的に手持ち撮影ですから、とにかく手ぶれは要注意です。

ぶれといえば、激しくぶれた画像にその場の臨場感が感じられて面白い効果をあげるケースもありますが、単純な手ぶれはいただけません。という理由から、ぶらりカメラ旅では手ぶれなしを第一に考えて、シャッター優先での撮影法をおすすめします。デジタルカメラのAF機能はピントをビシッと決めますから、ピントより手ぶれです。

シャッター優先にすれば絞りは開かれるので被写界深度が浅くなりますが、デジタルカメラの描写は鮮明で、特にAPS-Cサイズとマイクロフォーサーズタイプのデジタルカメラは被写界深度が深いので、絞りが開放側になっても鮮明な描写が得られるのです。

 

昔ながらの商店街は歩いているだけでも楽しい。写真はもっと面白い。[東京都豊島区]

ニッポンぶらりカメラ旅

 

著者プロフィール

丹野 清志

(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

主な写真集、著書
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)
町撮りアート写真ブック
ニッポンぶらりカメラ旅
お気に入りカメラで楽しむ自分流町歩き写真の方法
写真集のつくり方
写真教室では教えない“新スナップ写真”の方法
誰も教えなかった “自分流写真”の方法
[四季を味わう]ニッポンの野菜


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