オールドレンズ・ライフ
第14回

濃厚な色彩で日常を記録する MC Pancolar 80mm F1.8

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができますが、これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つです。

オールドレンズ・ライフ 2018-2019」においては、数あるオールドレンズの中でも性能面で個性が際立つ「中望遠オールドレンズ」を特集。正統派レンズからクセ玉まで、バラエティ豊かなキャラクターのレンズたちを作例とともに紹介しています。本記事では、「MC Pancolar 80mm F1.8」の作例と解説を抜粋して掲載します。

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オールドレンズ・ライフ 2018-2019

撮るものすべて濃厚に写る Carl Zeiss Jena「MC Pancolar 80mm F1.8」

α7II + MC Pancolar 80mm F1.8 絞り優先AE F1.8 1/1600秒 ISO100 AWB RAW 開放撮影なのでシャープネスは柔らかめだが、シャドウの締まりが良く、力強さがある。

中望遠レンズはポートレートで使われることが多いが、このMCパンカラー80mm F1.8は日常的なスナップで使ってほしいレンズだ。開放F1.8と控えめなスペックが功を奏し、小型軽量で常用レンズとして扱いやすい。大口径標準レンズと大差ないサイズ感だ。

加えて、描写が日常的なスナップに向いている。開放からコントラストと色ノリが強く、かなりこってりとしている。開放はやや滲むが、シャドウの締まりが良く、軟調という印象はない。被写体を格好良く捉えることに関し、MCパンカラー80mm F1.8は期待通りの絵を描いてくれるだろう。

一方、ボケはかなり滑らかで、花などを接写するととても雰囲気が良い。単にソフトに花を捉えるのではなく、色濃く存在感たっぷりに写る。MCパンカラー80mm F1.8は、日常的な被写体を濃厚に、そして美しく捉えてくれる。

α7II + MC Pancolar 80mm F1.8 絞り優先AE F1.8 1/400秒 ISO100 AWB RAW ダリアの花の色ノリが実に良い。背景は二線ボケが出そうなシーンだが、とても滑らかに描かれている。
MC Pancolar 80mm F1.8 中古価格:65,000~100,000円 Carl Zeiss Jena M42 mount 1978年に登場した中望遠レンズ。レンズ名の「MC」はマルチコーティングの略だ。レンズ構成は4群6枚で、最短撮影距離は0.8メートルだ。

character notes

描写力:★★★★
ク セ:★★★
機動性:★★★★
コスパ:★★

こってりと濃厚な描き方だが、暴れるようなクセはない。ハンドリングしやすい個性派だ。

M42-SαE.ADJ 税別価格:21,000円 M42マウントレンズをソニーEマウントボディに装着するアダプター。マウント面のネジを緩めると、レンズの指標位置を微調整できる。

オールドレンズ・ライフ 2018-2019

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura

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