かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができますが、これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つです。
「オールドレンズ・ライフ 2018-2019」においては、数あるオールドレンズの中でも性能面で個性が際立つ「中望遠オールドレンズ」を特集。正統派レンズからクセ玉まで、バラエティ豊かなキャラクターのレンズたちを作例とともに紹介しています。本記事では、「Sekor C 80mm F1.9」の作例と解説を抜粋して掲載します。
中判レンズがポートレートレンズに化ける Mamiya「Sekor C 80mm F1.9」
ここで取り上げるセコールC80mm F1.9は、中判カメラの標準レンズだ。1975年、6×4.5センチ判一眼レフのマミヤ「M645」が登場した。このマミヤ645シリーズ向けのレンズだ。中判カメラにとって80mmレンズは標準画角。ただし、これを35mm判カメラに付けると中望遠相当となる。ここがポイントだ。
中判の標準レンズは開放F2.8のものが多い。有名なハッセルブラッドのプラナーも、80mm F2.8だ。その点、本レンズは開放F1.9と一段明るく、これがあえて中望遠レンズとして使いたいポイントなのだ。スペック的にちょっとがんばっているため、開放は被写界深度が浅くて柔らかい。この描写が女性ポートレートで役立ってくれるだろう。反面、中判用でイメージサークルが大きいから、周辺部分でもしっかりと解像する。開放撮影でも構図の自由が確保されているわけだ。ダークホース的な存在として注目しておきたい。
character notes
描写力:★★★★
ク セ:★★
機動性:★★★
コスパ:★★★★
中判標準レンズでF1.9は明るい。これならフルサイズ機でポートレートレンズとして使える。