光と影の処方箋
第6回

自分の世界が撮れるのなら、交換レンズは無理をしてでも揃えたほうが良い

写真家の相原正明さんは著書「光と影の処方箋」のなかで、「心が通う写真の撮り方」を理解すれば、撮影スタンスが変わり、作品も良い方法へ変わっていくといいます。自然風景、街、人物、鉄道など、地球上のあらゆる被写体を撮影してきた著者が語る“心が通う写真の撮り方”とは?

本記事では、第3章の「Water(水)」の中から、風景写真を撮る上でそろえたいレンズについてご紹介します。

前回の記事はこちら

APS-Cサイズカメラ 100~400mmF4.5-5.6(280mm 相当) 絞り優先AE(F11・0.77秒) +0.3EV 
ISO400 WB:マニュアル 仕上がり設定:人肌 オーストラリア・タスマニア州セントラルハイランド

 

レンズは揃えろ! 気持ちだけでは写真は撮れない

〔 撮り方 〕
無数の立ち枯れの木が並び、霧が出やすいこの湖は、タスマニアのお気に入りポイント。

撮影焦点距離はAPS-Cサイズカメラの280mm相当。まずしっかりした三脚と、少しでもぶれを防ぐために電子シャッターを使用。5本の木を並べて、センターの木を中心にシンメトリーな構図を作り上げた。次に5本の木の後ろの霧がどのように動くかを見極めながらシャッターを切った。

特に霧とバックの森の位置関係が大事になってくる。露出は湖面と霧が重くならないように少し+に補正したが、+1.5EV くらいまでブラケティングして撮っている。また色は、仕上がり設定の人肌モードの彩度を+1~2で調整し、朝の鮮やかさが出るようにした。色温度はマニュアルで設定。朝の青味が残りつつ、やや赤味が差すところを探した。

 

〔 処方箋 〕
写真を撮るならば標準レンズさえあれば充分という考えがある。それは間違いではない。ただ撮影分野によっては、レンズを揃えなければ撮れないことが発生する。

正直にいえば、心のままに撮りたいのならば、風景では16~400mm(35mm 判換算)の焦点域をカバーするレンズが必要だ。この作品のように近づけない場合は超望遠系ズームがなくては話にならない。以前、20~300mmの焦点域で撮影を行ったときは、満足のいくアングルを撮り逃してしまった。

レンズを揃え、レンズを使いこなすことで自分の世界が撮れるのなら、無理をしてでも揃えたほうが良い。もしプロになろうと思うならばなおさらだ。そして購入資金は必ず取り返す信念を持つことだ。

 


<玄光社の本>


「光と影の処方箋」

著者プロフィール

相原正明

1988年のバイクでのオーストラリア縦断撮影ツーリング以来かの地でランドスケープフォトの虜になり、以後オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトに撮影。2004年オーストラリア最大の写真ギャラリー・ウィルダネスギャラリーで日本人として初の個展開催。以後写真展はアメリカ、韓国、そしてドイツ・フォトキナでは富士フイルムメインステージで個展を開催。また2008年には世界のトップ写真家17人を集めたアドビアドベンチャー・タスマニアに日本・オーストラリア代表として参加。現在写真家であるとともにフレンドオブタスマニア(タスマニア州観光親善大使)の称号を持つ。パブリックコレクションとして、オーストラリア大使館東京およびソウル、デンマーク王室に作品が収蔵されている。また2014年からは三代目桂花團治師匠の襲名を中心に落語の世界の撮影を始める。写真展多数。写真集、書籍には「ちいさないのち」小学館刊、「誰も言わなかったランドスケープ・フォトの極意」玄光社刊、「しずくの国」エシェルアン刊。


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