オンラインショップの商品写真は、その商品の売上を左右する大きな要素のひとつです。商品の販売を前提に撮られる「商品写真」は、単にきれいな写真であればいいわけではなく、写真を見た人に商品の特長や魅力をしっかりと伝える写真でなくてはなりません。
「売上がアップする商品写真の教科書」では、機材選びから被写体別の撮影テクニック、ライティング、レタッチ、SNS活用にいたるまで、商品撮影の実務にまつわる知識と技術を、詳細かつわかりやすく解説しています。
本記事では、1章「目的別実践テクニック」より、商品として洋服を見せる際のコツをお伝えします。
【例】ネットショップの商品一覧画像として、ローン素材のノースリーブを撮影する
洋服の撮影は、商品をきれいに見せるために、撮影前にアイロンをかけてシワを伸ばしておくことが大切だ。注目されやすい襟周り、裾のギャザー部分は念入りにかけよう。洋服に適度な立体感を出すため、中に厚紙やタオルを入れて撮影するのも効果的だ。
写真の目的:製品写真
訴求イメージ:ローン素材のやわらかいシルエットや質感を伝える。
ターゲット:20代女性向け
スタイリングのポイント:切り抜きでも角版でも使用できるように、白い背景で撮影。事前にアイロンを当てシワを取り、服の形がきれいに見えるように襟や裾を整える。
- 布のやわらかさを出すためふんわりとした光を作る。
- 傾斜のある台で真俯瞰から、商品一覧画像がそろうように定位置で撮影する。
ネットショップに掲載する洋服の写真は、正しいフォルムが分かるように真俯瞰で撮影する。床や台に置いて真俯瞰で撮ると、自分の影が商品に落ちてしまう。傾斜を付けた台に置いて撮影すれば、真俯瞰のアングルで撮りやすくなる。ネットショップの商品一覧画面は、背景やアングル、光の状態をそろえて撮影する必要がある。撮影台と照明を常にセッティングしておけば、商品を置くだけで同じクオリティーで撮影ができるので便利だ。
着用イメージのバリエーション
ネットショップで掲載する洋服の商品写真は、製品写真だけでなく、着用したときのイメージが分かる使用イメージ写真があると分かりやすい。
着用するモデルは顔を出すか出さないかでイメージが変わる。モデルがターゲットと合う年齢層や雰囲気に合うようであれば顔出しをしたほうが良いが、訴求ターゲットに合わせたモデルが起用できなかった場合は、口元から下を撮影をするか、撮影後にトリミングして顔が分からないようにしたほうが良い。顔を出さないことで、商品を見ているお客が、モデルの顔を自分に置き換えて見ることができるのと、商品自体に目線が行きやすい効果もある。
表情を見せずに撮影
モデルの顔が見えないことで商品に視線が集まるだけでなく、モデルのイメージが付きにくくなるので万人が手に取りやすくなる。
注目ポイントに視線を向ける
アピールポイントをモデルの視線の先に配置することや手で持つことで、注目させることができる。
スチレンボードの下に箱を入れて傾斜を作り、その上に洋服を置いて、カメラと商品が正対するアングルで撮影。洋服は真正面から光を当てると質感や立体感が表現されないため、向かって斜め左上から傘でバウンスさせたストロボ光を当てている。
服の特徴や細部を撮影する
手に取ってみないと分からないような服の細部の特徴は、アップで撮影する。こちらの服は、ローン素材で格子模様であり、下部分にギャザーで広がりがあることがポイントだ。また、襟やボタンの形状、ステッチなどもしっかり伝わるよう、アングルやフレーミングを吟味する。