オンラインショップの商品写真は、その商品の売上を左右する大きな要素のひとつです。商品の販売を前提に撮られる「商品写真」は、単にきれいな写真であればいいわけではなく、写真を見た人に商品の特長や魅力をしっかりと伝える写真でなくてはなりません。
「売上がアップする商品写真の教科書」では、機材選びから被写体別の撮影テクニック、ライティング、レタッチ、SNS活用にいたるまで、商品撮影の実務にまつわる知識と技術を、詳細かつわかりやすく解説しています。
本記事では、1章「目的別実践テクニック」より、金属製品の質感を演出する方法を解説します。
【例】カトラリーのネットショップで、販売ページのメインビジュアル写真を撮影する
後ろから光を当て、銀レフ板の強い反射光を使うことで、輪郭部分のハイライトを強調し、ハイライトとシャドウを対比させている。また、輪郭を強調したい部分にピントを合わせ、それ以外をぼかすことで画にメリハリをつけている。
写真の目的:イメージ写真
訴求イメージ:金属の質感とシンプルなラインが描く機能美を伝える。
ターゲット:シンプルなライフスタイルを好む男女
スタイリングのポイント:使いやすく洗練された機能美と、金属の質感を強調させるため、黒の背景紙に光沢のある黒の陶器の皿を置き、その上にカトラリーを載せて撮影した。
- 黒い背景で金属の輪郭を際立てメタリック感を演出、 余計な映り込みに気をつける。
- ハイライトからシャドウへのグラデーションを作る。
金属製品は輪郭のコントラストを強調することで、硬質な印象を与えられる。このときのポイントは、ハイライトとシャドウを滑らかなグラデーションでつなぐことだ。グラデーションが表現できないと、金属の光沢感は表現できない。金属の光沢感はレフ板の微妙な角度や距離で大きく変化する。ハイライトが際立つ位置をていねいに探そう。また、金属の映り込みは、商品全体をトレーシングペーパーで囲うと防ぐことができる。
黒を映り込ませてシャドウを引き締める
反射の強い金属製品は、銀レフ板でハイライトを作るだけではコントラストが強調できない。金属に黒レフ板を映り込ませることで、シャドウが引き締まり光沢感を出すことができる。光をフラットに回してしまうと、金属の光沢感は薄れ、ツヤ消し加工の金属のように見えてしまうので注意しよう。
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ハイライトを作っても、商品全体にやわらかいフラットな光を当てると暗い部分がないため、光沢感が失われてしまう。黒レフ板を映り込ませる位置や面積の割合は、大きさや角度で調整できる。
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トレーシングペーパーを手前から奥に向かって下げるように設置。トレーシングペーパーの下に商品を配置することで映り込みを防止した。後方からトレーシングペーパー越しに、少し低めの位置からライトを当てると、ハイライトが際立つ。さらに銀レフ板でハイライトを強調している。
商品のイメージ写真で気をつけること
商品のイメージ写真はある程度商品の情報が伝わらないとNG だ。上の写真のように影の部分が引き締まっていても、光が当たっている部分は質感や色が分かるように撮影している。下の写真はすべてがシルエットなので、雰囲気は良いが商品の情報はなにも伝わらない。