売上がアップする商品写真の教科書
第3回

量感や質感を強調して商品の魅力を引き立てる演出テクニック

オンラインショップの商品写真は、その商品の売上を左右する大きな要素のひとつです。商品の販売を前提に撮られる「商品写真」は、単にきれいな写真であればいいわけではなく、写真を見た人に商品の特長や魅力をしっかりと伝える写真でなくてはなりません。

売上がアップする商品写真の教科書」では、機材選びから被写体別の撮影テクニック、ライティング、レタッチ、SNS活用にいたるまで、商品撮影の実務にまつわる知識と技術を、詳細かつわかりやすく解説しています。

本記事では、1章「目的別実践テクニック」より、商品の特性や特徴を引き出す演出方法についてご紹介します。

魅力的に見せる商品撮影の基本

商品撮影でいちばん大切なことは、商品そのものの魅力を引き出すことだ。商品の特徴やアピールするべき点を分析して、商品の魅力が最大限に伝わる撮り方を心がけよう。

 

商品の特性・特徴を引き出す

まずは、商品のターゲット設定や訴求イメージに合ったスタイリングを準備する。そこまでは全体的なイメージ作りだ。そこから、商品そのものの魅力を引き出せるかがポイントとなる。一部を大きく見せるのか、全体の形状を印象付けたいのか、どのような見せ方をするのがいちばん魅力的に見えるかを探し出す。その写真を見た瞬間、欲しい、食べたい、着たいという欲求を作ることができれば成功だ。その商品がどのような意図で作られたのかまでさかのぼれば、アピールポイントも見えやすい。

水に入れることで潤い感を強調

唇にツヤツヤした潤いを出すリップグロスのイメージ写真。使用するとなめらかで潤った唇になるイメージを導き出すため、水中に商品を投入して撮影。ストロボの光で水のうねりを止め、天地を逆にした。

重厚感を出し、工具の機能美をアピール

ラチェットドライバーを、ダークな雰囲気で撮影。工具やボルトで作業中のひとコマを作り、使える工具というイメージを強調。特徴である先端部に光とピントを集中させ、しっかり見えるようにした。

イチゴを中心にして甘酸っぱさを強調

イチゴのパフェのイメージ写真。目を引く赤いフルーツを写真の中心にすることで、爽やかさと甘酸っぱさを演出した。

  • 商品の魅力やアピールポイントを探して強調する。
  • 写真を見た瞬間に、商品の魅力を感じるようなスタイリングをする。

特性・特徴を強調する撮影方法

商品を魅力的に見せるには、アピールポイントを徹底的に強調すること。たとえば、軽量モデルならスタイリングやライティングで軽そうなイメージを、増量商品ならボリューム感を、旬な食べ物ならみずみずしさを演出する。

アピールポイントを強調し簡単に伝えるためには、特徴が分かる部分に寄ってアップで撮ること。また、商品単体を撮っただけでは伝わりにくい使い心地などは、実際に使用している様子を撮影した「使用イメージ」で商品の魅力を伝えることができる。良い商品の魅力をうまく伝えられれば、それが売上アップにつながっていく。

チョコレートのボリューム感を出す

ブロックチョコレートがたっぷり入ったチョコレートパン。特徴は、「チョコレートがあふれそうなほどたくさん入っている」ということ。チョコレートがよく見えるようにアングルを下げて、チョコレートのボリューム感を出した。また、マクロレンズでチョコレートに寄り、お皿など余計な部分に注意が向かないように撮影した。

なめらかに書けることを伝える

商品の特徴は、「なめらかに美しく書けるボールペン」。ボールペンと相性の良い手紙をイメージしてスタイリング。「なめらかに書ける」という使用感の特徴を伝えるため、実際にモデルに字を書いてもらった。

  • アピールポイントを簡単に伝えるには、特徴に寄ってアップにする。
  • 使用感など、目で見て伝わりにくい魅力は「使用イメージ」で伝える。

商品イメージに合わせて影の出方を調整する

光は直進するため、影がどう出るかは、光源の種類、商品との位置や距離で決まる。

商品にライトを直接当てる「点光源」の場合は、しっかりとした影とはっきりした陰影になり、深い影は力強さや立体感、重厚感を表現するのに適している。

広い面積から回り込むように照らす「面光源」では、影もうっすらとし、全体が明るい印象になる。影を消すことで軽快さややわらかさを出せる反面、立体感が乏しくなってしまうこともある。製品写真の場合は、この影が出ないライティングが基本だ。

どちらの光で見せればより魅力を引き出せるのか、商品をどう見せていきたいかで、光の当て方や影の出し方を決めていこう。

点光源で撮影

ライト1 灯を、直接商品に当てて撮影。光が当たっている部分は明るく、暗い部分との明暗差が出た。影もはっきりとした。立体感が強調され、質感も鮮明になった。

面光源で撮影

ソフトボックス(P169 参照)を使って面光源を作り、商品に回り込むようにライトを当てた。影がうっすらとし、明暗差が減って全体的に明るくなった。

  • 点光源は影が強くなり、面光源は影が弱くなる。
  • 商品をどう見せるかで、光の当て方、影の出し方を決める。

素材の立体感や質感を際立たせる

上の面光源でも説明したが、光を商品に回り込ませてフラットに当てると、立体感や素材の質感が表現できないことがある。起毛や梨子地仕上げ、本革製品といった質感に特徴がある商品を撮影する場合は、質感を出すため用に照明を追加したり、あえて影を作ったりするなどライティングを工夫することが必要だ。

光をフラットにして撮影

全体を明るく見せるため、光を回り込ませて、フラットな明かりを作った。影もなくきれいに撮れたが、表面がツルツルになり、特徴である手帳の素材が分からなくなってしまった。

フラットに光を当てしまうと、オーストリッチ特有のシボが消えてしまうので、横からの照明を増やし、表面の凹凸を浮き立たせた。

  • 光をフラットにすると立体感や質感が失われやすい。
  • 質感を強調するには、照明の追加やあえて影を作りライティングで工夫する。

売上がアップする商品写真の教科書

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