「光の魔術師イルコのポートレート撮影スペシャルテクニック」は、タイトルの通り、人物撮影時におけるラインティングテクニックを指南する主旨の書籍です。本書ではストロボライティングの基本と、後幕シンクロやマルチ発光などの応用技術をカバーしていますが、このほかにもストロボの基本を学ぶ前段階として、自然光を活用した撮り方も解説しているのが特徴となっています。
本記事では、チャプター2「実践!イルコのポートレート・テクニック」より、ストロボを使ったライティングの基本についてご紹介します。
ブラックボックス状態を知っておこう
ブラックボックス状態というのは、被写体が真っ暗に写るようにカメラの露出とホワイトバランスを設定することです。ブラックボックス状態をよく作るのは、スタジオでライティングをして撮影するとき。部屋のライトの色とストロボの色は違うので、ブラックボックス状態にせずに撮影した場合、部屋のライトの色が混ざって違和感のある色になることがあります。
たとえば白バックで撮影した場合、ブラックボックス状態を作っていないと、暖かいケルビンの部屋のライトも白い紙に影響を与え、グレーに写るはずの背景紙にオレンジの色が入ってしまいます。ブラックボックス作っている場合は、ちゃんとグレーになります。
ストロボを使うときに、ストロボが光らない状態で真っ暗な画像が写るときは、ブラックボックスができてます。言い換えれば、ブラックボックス状態を作ることができれば、自分のライティングだけで光を作ることができるともいえます。
2つのブラックボックスをおさえておく
ブラックボックスは下記の2種類に分けられます。覚えておいてください。
1. 全体のブラックボックス状態:部屋のライトやストロボが光らなければ、写真全体が真っ暗になる状態
ストロボが光らなかったときに被写体も背景も真っ暗な状態です。
2. 被写体だけのブラックボックス:外で撮影してるとき、ストロボを被写体に当てなければ、被写体が真っ暗もしくはシルエットに写る状態
ストロボが被写体に当たらないと、被写体の顔が真っ暗になる状態です。
背景が白い場所で、ブラックボックス状態にせずに撮影。部屋のライトが影響して背景がやや暖色よりになりました。いわゆる色かぶりの状態です。
さまざまな光をストロボアクセサリーで作る
スタジオでブラックボックス状態を作ったときに、照射角の違いでどんな風に被写体に当たる光が変わるか、またアクセサリーの光はどんな光の質の違いがあるのかを、いろいろ撮り分けてみました。アクセサリーを使わず直当ての場合は、照射角が広いほど強い光ができ、明暗差の大きな光を作ることができます。照射角24mmと105mmでは、露出でだいたい1段分くらい違います。
アクセサリーでよく使うソフトボックスは、グリッドがあるほうが方向性のある光を作ることができます。アンブレラはソフトボックスよりも、さらに拡散してやわらかい光になるのがわかりますね!
アンブレラの大きさが大きくなるほど、さらにやわらかい光になります。
オンカメラ直当て
直当て(照射角24mm)
直当て(照射角105mm)
ソフトボックス(グリッドなし)
ソフトボックス(グリッドあり)
アンブレラ(90cm)
アンブレラ(130cm)
作例
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